万能細胞と生命の動的平衡について

ちょっと変り種を。 今朝のニュースでビビッと反応してしまったのが、『京大の教授らが「万能細胞」をひとの皮膚から作ることに世界で初めて成功した』、というもの。『生物と無生物のあいだ』で興味を持った福岡伸一氏の三年前の書『もう牛を食べても安心か…

『ウェブ時代をゆく』のすごさを考える

決して盲目的に梅田望夫さんを信奉しているわけではないのですが、この本も*1、すべての人にすすめたい。 読んでどう感じるかは様々だと思いますが、この本を批判的にしか受け止められない人がいたとしたら、その人はどうかしていると思う。なぜなら、この本…

まじめに読むとやっぱり文系にはつらい『闘う物理学者!』

歴史に名を残す物理学者たちの "闘い" を、それぞれコンパクトにまとめた『闘う物理学者!』。各人の素顔が垣間見え、また彼・彼女らのライバル、権力からの圧力、苦悩などが描かれている一般人向けの読み物です。ほとんど数式が出てこないので、理系でなく…

生命は流れの中にある〜『生物と無生物のあいだ』

カブトムシの羽化に遅まきながら感動したこの夏*1、「生命 (とその仕組み) とは何か」について一般人にもわかる言葉で語られた本を求めて書店へ向かうと、ベストセラーコーナーで平積みになっている『生物と無生物のあいだ』にあっさりと出会いました。 同書…

『2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?』は解熱剤

私は2ちゃんねるを利用したことがありません。より正確に言えば、ネット検索の結果からたどって行って閲覧することはありますが、そこまでの関係です。ただぼんやりと「時折問題を引き起こす、あるいは (悪い意味で) 話題に上る匿名投稿サイト」程度の認識…

『ウェブ社会をどう生きるか』では生きられない

人生最初の転職で私がロータスへ移ったのは 1995年、振り返ればいわゆるインターネット元年とされる年でした。ロータス転職の理由はただひとつで、「ロータス ノーツを作っている会社へ行きたい」という思いだけ。そのノーツに出会ったころ(つまり最初の就職…

『松井教授の東大駒場講義録』について

「地球・生命・文明の普遍性を宇宙に探る」ということに関して、いま少しだけ興味を持っています。大学時代は不良学生でしたが、少なくとも受験期は真剣に物理学を志していた者として、このテーマに少なからず興味があるのは当然のことと言えます。先日 Podc…

『クチコミの技術』について

本のタイトルはなんてことないですが(失礼!)、内容は大変面白いです。なぜ面白いと感じたのかというと、体験談だからです。「外」から様々な分析や解説を加えるものと、「中」からリアリティーのある声で語っているものとでは、面白さが違います。さらに、本…

『iPodは何を変えたのか?』について

個人的にはつい数ヶ月前にはじめて iPod にふれたばかりですが、最初に受けた説明のしようのない感覚(または、誰もが感じる「他とは違う」という印象)と、社会へ与えたすべての影響も含めて、文字通り iPod が変えてきたもの、結果的に変わったことを独自の…

『東大のこと、教えます』について

歴代の総長の中ではかなりユニークな存在であると評判(?)の現役東大総長による、「日本もっとがんばれ」、「東大はすごいのである」についての本。 肩書きからくる固さを感じさせない人柄の著者とあって少々期待して読んでみたものの、頷けるページは思った…

『大企業のウェブはなぜつまらないのか』について

夕食を済ませてオフィスに戻る途中で、IBM時代の上司(女性です)に偶然出くわしました。東京サンケイビルの地下に入っている「ビストロ リヨン」という店で『大企業のウェブはなぜつまらないのか』の出版謝恩会(?)が開催されていたようで、彼女は店先で "受付…

「Web2.0とは...」、なんて言わないで

数ヶ月前に買ったものの半分ほど読んでその後ページを開くことのなかった『マーケティング2.0』(翔泳社)を、出張を機に後半を読んでみました。小説などの場合、始めの1〜2割がつまらない内容の場合よほどのことがないかぎりその後の展開には期待できないとい…

知っておきたいテレビ局事情

少し出遅れましたが、『テレビはインターネットがなぜ嫌いなのか』を読みました。ここでいう「テレビ」とは言うまでもなくテレビ受像機のことではなく、テレビ局、とりわけ日本の民放を指しています。この本では、保身のために構造的政治的に変化を拒む民放…

『グーグル八分とは何か』は、まず読んでみましょう

『グーグル八分とは何か』を読みました。この本の存在は知っていたものの積極的に買おうとまでは考えていなかったのですが、息子のポケモン図鑑を買いに行ったときにたまたまセンスのいい表紙が目にとまり、「おお、これか」と手に取りそのまま購入。 読む以…

三十代最後の日

いよいよ終盤を迎え、通勤帰りの電車中で盛り上がりを見せている「フェルマーの最終定理」では、17世紀の数学者フェルマーが残した未証明の定理をめぐる人と学会と政治と宗教、そしてそれらを見つめてきた350年以上にわたる歴史がドラマチックに描かれていま…

極私的『ウェブ進化論』論

まずこのタイトルを見て、「う出たよ」「ミーハーだぜ」「なにをいまさら、わかっとるわい」「グーグルに言及すれば売れる、みたいな本」「若者に媚びたやつ」等々、素直にこの本に感動できない方は以下お読みいただかなくて結構です。さて私のブログ第一回…