極私的『ウェブ進化論』論

まずこのタイトルを見て、「う出たよ」「ミーハーだぜ」「なにをいまさら、わかっとるわい」「グーグルに言及すれば売れる、みたいな本」「若者に媚びたやつ」等々、素直にこの本に感動できない方は以下お読みいただかなくて結構です。

さて私のブログ第一回にて、「梅田望夫さんの同著に感化されてブログ始めました」と書いたこともあり、この本に対する私の感想を簡単に述べておくべきと思い、ここに記しておきます。はじめに断りますが、私は評論家ではないので書評をするつもりはありません。単なる読書感想文として受け取ってください。

ウェブ進化論」には心底感動しました。おそらく、これまでの社会人生活の中でもっとも感動した書物でしょう。内向きの仕事に終始したIBMでの4年とちょっとを取り戻すためのリハビリ書物としても期待以上の効果がありました。

なにが感動したって、

  • テクノロジーが世の中を変えると力説しておきながら技術論にはまったく走らずひたすら技術応用面(利用者にとっての価値)を説いていること。
  • 対象物 -ウェブ、インターネット、グーグル、その他もろもろのテクノロジー- との距離感がすばらしい。この手のことを語りだすと、とかく微細な部分への言及が増えてしまいがちだが、あくまで「一歩引いて」論じており、個々の技術ではなく大きな世の変化、パラダイムシフトという観点、つまり「流れ」の視点が貫かれていること。
  • 引用している様々な現象について表面的になぞることは一切せず、つねに「本質は何か」を語ることを忘れていないこと。
  • 一分のスキもない文章。「よいことを書いているな」と思ったページに折り目をつけていったのですが、あるとき、文頭からすべてのページが折り込まれていることに気づき、ページ折りをすることはやめました。きわめて簡潔でかつ的確な表現による説得力のある文章の連続です。

なんです。数年前に「Webサービス」とうことばが生まれもてはやされてましたが、当時私はこいつにきわめて懐疑的でした。理由は単純で、技術論のみが語られ、私からするとまったくリアリティーを感じられなかったからです。技術はそれ自身が優れているかどうかよりも、それをどう私たちの生活に、社会に生かしていくかが重要です。グーグルの時代になって、Webサービスがようやく意味のあるものになってきたように思います。

繰り返します。今日のトピックは、「ウェブ進化論」を評論することではありません。私の単なる感想です。万が一この本を読んでいない方がいらっしゃいましたら、書店で手にとってそのままレジへ歩まれることを強くおすすめします。売れてる本なのでレジでちょっとだけ恥ずかしいかもしれませんが(笑)、そんなことふっ飛ばされるくらいすばらしい本だと思います。正直、40を前にして言いようのない焦りを感じています。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)