ゼロ年代最後の年のIT業界はどんなだった


2009年、いわゆる「ゼロ年代」最後の年。今年もいろいろありました。「IT業界(とくにソフトウェア関連)の住人」のきわめて個人的なレンズを通して見る2009年のトレンドは、以下の通り。

以下、象徴的なウェブ記事とともに簡単に振り返ってみます。


Twitterっていうおかしなサービスがブレイクした
今年に入ってから始めたという方が数の上では主流なんだと思いますが、急激なスピードでブレイクしたTwitter。その予兆は昨秋の米大統領選やハドソン川不時着事故あたりに見られましたが、それにしてもすさまじい速さでの増殖。Twitterのブレイクは、時代がまたひとつ階段を上ったなという印象を持つほどきわめて大きな出来事だと思っています。セカンドライフと並べて語ってはいけません。

以下はTwitter誕生秘話(英語) 『How Twitter Was Born』
http://www.140characters.com/2009/01/30/how-twitter-was-born/

自分のブログを振り返ってみても、Twitter関連が多かったように思います。その中のひとつ → 『未使用の脳を刺激する実験室、Twitterhttp://d.hatena.ne.jp/saitokoichi/20090724/1248437686)


クラウドクラウドクラウド
流行語という意味では、「クラウド」がダントツの一番でしょう。説明不要、いや、説明不能ともいえる「クラウド」ですが、猫も杓子も感はあるもののパラダイムシフトをあらわす言葉として非常に重要なものであり、バズワードとは見ていません。

以下はクラウドの「いま」(年初の段階)をまとめた記事です。Amazon AWSに触れていないなど網羅性は欠くものの、なかなかよい内容です。
GoogleSalesforce.com vs Microsoft クラウドコンピューティングバトル2009』
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0901/09/news007.html
(関連してブログ書きました 『今年のクラウドを読む記事』 http://d.hatena.ne.jp/saitokoichi/20090109/1231493803)


日本もチェンジした
衆議院選で民主党が大勝利し、政権がチェンジしました。前後して、議員によるTwitter参入などITを通じた新しいコミュニケーションのカタチが産声を上げた年でもあります。年後半は「形から入る」Twitter議員が激増してなんだかなーな雰囲気もありましたが、前向きに受け止めたいと思います。

このような変化をあらわす象徴的な出来事が、さとなおさんと鳩山首相の突然ディナー。驚きましたね。
鳩山首相とご飯した』
http://www.satonao.com/archives/2009/09/post_2718.html


世の中の話題はGoogle、モバイルはiPhone
年間を通じて話題を提供し続けたのはやっぱりGoogle。年半ばには「Google Wave」という従来にないコンセプトのサービスを出し、Chrome OSで業界を揺さぶり、後半はAndroidの話題で風を起こし続けました。一方モバイルに限定した話では、iPhoneが変わらぬ強さを見せています。ネットブックの話題もそこそこありましたが、存在感は圧倒的にiPhone。ただし来年はChrome OSAndroidによってこの状況は大きく変わるはずです。

創業者のひとりラリー・ペイジのインタビュー 『グーグル共同創業者が語る、Chrome OSに取り組むワケ』 http://www.atmarkit.co.jp/news/200907/30/page.html

AndroidiPhoneを比較した良記事 『使って分かったAndroidiPhoneの違い』
http://www.atmarkit.co.jp/news/analysis/200906/29/android.html

Googleに関して、とくに年前半はストビューの対応に関するネガティブな印象が強く残っています。これはGoogleというか、グーグル株式会社のことですが。

添付されている動画が衝撃的な記事 『東京都情報公開・個人情報保護審議会を傍聴してきた』
http://takagi-hiromitsu.jp/diary/20090204.html#p01


メディア激震が本格化した
上述したTwitterのブレイクや議員のネット参加などもあり、メディアとしてのネットがさらに存在感を増しマスメディアの地殻変動が進みました。もちろん、変動そのものは今年から始まったものではありませんが、政治がらみのネタ、たとえばダム建設をめぐる報道のあり方や記者クラブ開放問題など、話題に事欠きませんでした。
視点を変えて「書籍」という部分では、電子ブック、とりわけAmazon Kindleの普及が大きな話題となりました。日本への上陸は事実上まだですが、日本の流通や版権問題などがどう解決されていくか(あるいはされないのか?)、2010年は注目です。

ネット時代のメディアのあり方についての象徴的な記事 『記者クラブを楯にして新聞を有料化しようと企てる人たち』
http://japan.cnet.com/blog/sasaki/2009/08/17/entry_27024384/


番外編 - 「残念」な問題
日本のネットは本当に「残念」な状況なのか、について、梅田望夫さんの発言を受けてちょっとした騒ぎになりました。「オープンソース」という言葉の使い方でも議論沸騰。

火種となった梅田さんの「残念」インタビュー 『日本のWebは「残念」 梅田望夫さんに聞く』 http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/01/news045.html
ひがやすをさんが噛み付いた件 『梅田望夫オープンソースを語るなとガツンと申し上げたい』
http://d.hatena.ne.jp/higayasuo/20090618/1245292543
一連の騒動のわかりやすい総括 『日本のネットで本当に残念なこと 「梅田発言」の波紋』 http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMIT11000018062009


ということで、本年もあと10時間ほど。Twitterのタイムラインのように、瞬く間に過ぎ去っていった1年でした。来年はもっとワクワクする年でありますように!