『アバター (AVATAR)』は孤高の3D映画、かもしれない


アバター (AVATAR)』を観てきました。この映画、3億ドルともいわれる製作費を投じているというのにすでに黒字化したという話も聞こえてくるほど空前の盛り上がりを見せています。


アバター』は、過去の映画から借りてきたようなその平凡なストーリーは軽くスルーしておいて、ド迫力の3D映像を楽しみましょう。話題の立体映像は、劇場入り口で配られる3D用メガネによって目の前に再現されます。ちなみにこのメガネを装着するベストタイミングは、ティム・バートンの次回作『アリス・イン・ワンダーランド』の予告編が始まった時。その瞬間、眼前に現れる3D映像にシアター内がどよめきます。


実際、映像はきれいで、迫力があって、3Dによる奥行き感・立体感が非常にうまく表現できています*1。ただ個人的な感想をいうと、大スクリーン上で展開する2時間半を超える3D映像体験はちょっとヘビーでした。これが私だけの感覚なのか他にも感じられた方がいるのかはわかりませんが、「実際に目の前にあるものの立体感」と「平面を立体化した3D映像」とはどこまで行っても別物で、いいようのない違和感を覚えてしまうのです。少なくともぼくの脳は十分に順応できなかったようで、映画後半では少し気分が悪くなるほどでした。


素人なので間違った見方かもしれませんが、『アバター』の超絶3Dは、自ら3D装置を設計してしまうほどの情熱と知識を持ったジェームズ・キャメロンという大監督の存在と莫大な予算によって成立したものだと思っていて、この作品がきっかけで3D映画がさらに増えることになったとしても技術進歩は驚くほどには伸びないのでは?であるならば、今後ぼくは3D映画は観ないかな、と思ったりしたりなんかしています。端的にいえば、「ごちそうさま。とてもおいしかったけど、おかわりはいりません」なのです。さらにいえば、「3D映像のすごさはわかった。でもこれは結局ギミックだ。ぼくが映画を通じて観たいのはリアルさを追求した立体ビジュアルではなくて活動大写真なのだ」というのが、ぼくの感想。


とはいえ、です。一見の価値あり、というか、体験必須の映画ではあると思います。この作品でしか触れることのできないものがそこにあるからです。内容の良し悪し、好き嫌いは抜きにして、映画館へ足を運ぶことをおすすめします。

*1:注: IMAXシアターで観るのがよいというもっぱらの評判。私も川崎のIMAXで観ました。実際に他の劇場と比較したわけではないので左記評判の真偽のほどはわかりません