映画『天空の蜂』から手渡されたもの


どなたのブログかは失念しましたが、映画『天空の蜂』を絶賛した記事がずっと記憶に残っていまして、妻の「映画でも行く?」のお誘いに「ならばならば是々非々に」と二人で休日に観てまいりました。


この映画、よいです。アクションものは生理的にダメという方以外は、すべての人に観ていただきたい作品であります。


前半は比較的シンプルなアクション映画であり若干退屈に感じる人もいると思うのですが(ぼくもその一人でした)、後半へ話が進むにつれて背後にある強い強いメッセージが全面に出てきます。もちろん、全編を通じてアクションものとして楽しまれる方もいらっしゃるかもしれませんが、すばらしいCGによる迫力の映像よりもその何倍も重みのあるメッセージが生身の役者さんを通じて胸にドーンと訴えてくる、、、そんな映画なのです。


この映画のメッセージとしてぼくが感じたのは、以下のような問いかけでした。

  • 国の大事を当事者としてしっかり考えているか?(作品では題材として原発が選ばれていますが、訴えかけてくるメッセージはもっと普遍的なものと思います)
  • 賛成か反対か、白か黒か、敵か味方か、ゼロ か100か、という二極化した思考で凝り固まっていないか?(議論することの重要性を忘れていないか)
  • 技術自身やその技術を支える人々に善悪というレッテルを貼って思考停止していないか?(技術はそれを使う者次第であるという当たり前の想像力を忘れていないか)


原発にしろ昨今の安保法案にしろ、賛成か反対かお前はどっちなんだ?みたいな日本人の好む「どこに属するか」論ではなく、国民として当事者として主権者として、どう考えるかどう主張するかどう議論しどう妥協するか、といったことをあらためて考えらさせられた次第です。


後半には涙ボロボロなシーンがいくつも登場し、見応えのある、そして、何か重たいものを手渡された感覚が残る名画でした。