『クチコミの技術』について


本のタイトルはなんてことないですが(失礼!)、内容は大変面白いです。なぜ面白いと感じたのかというと、体験談だからです。「外」から様々な分析や解説を加えるものと、「中」からリアリティーのある声で語っているものとでは、面白さが違います。さらに、本全体に流れる筆者の自然体な感じがさらに好感度を高めます。


本書は、表面的には「ブログをマーケティングに生かすには」という一種のノウハウ本ですが、タイトルが語るほど "技術" へ偏ってはおらず、むしろ、どーしてブログとかクチコミっていうのがそんなに市場影響力があるのか、そしてその舞台裏は?といったブログマーケティングの背景とその解説をリアルに語ってくれています。私はテクノロジーの話は好きですが、テクノロジーそのものよりもそれがどのように自分たちの生活に役立つのかな、という視点でいつも考えるようにしています。『クチコミの技術』は、テクノロジーっぽい話は後半の章の『クチコミの効果測定』あたりで各種分析ツールについて簡単な解説を入れている程度で、あとは説得力のある体験談や事例が次々と述べられており、極めて実践的な本と言えます。


たとえば、『クチコミが起こるツボ』でのクチコミの意外性、『クチコミのための7か条』でのシンプルかつ的確な解説、『炎上とどう向き合うか』でのクチコミ社会(?)との対話のあり方など、どれもためになる話です。読んでしまえば「そんなの当たり前」と思える箇所もあるかもしれませんが、これほど簡潔に具体性を持って語ることは実践者である筆者だからこそできたことで、「外」から書かれた本では不可能でしょう。


企業のマーケティング担当者は必読ですね。もちろん、読み物としてもおすすめです。


クチコミの技術 広告に頼らない共感型マーケティング

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