足を使うな、体幹で走れ。そして、物事は引いてとらえよ。


塩素アレルギーが原因でドクターストップがかかりプールに通えなくなったため、なにか運動しなくちゃ、とジョギングを始めました。十数年前にちょっと無理して出場した神宮外苑の10km走でひざを痛めて以来、走ることには消極的だったのですが、同僚たちからの強烈なススメによって先月から走っています。


参考にしている『「体幹」ランニング』という本では、頭・腕・足を除いた部位 ---「体幹 (たいかん)」--- を使って走れ、と教えています。ランニングの本だというのに、呼吸法も足の運び方もほとんど書かれていないし、よく聞かれる「体の上下動に気をつけろ」というアドバイスもありません。じゃあどんなことが説かれているかというと、「肩甲骨を使え」、「重心(へそ下)を意識しろ」、「骨盤を前傾に」、そして、「姿勢を正しく」。基本的にこれだけなのです。あとは、それぞれの体 (と言うか体幹部分) の動きをスムーズにつなげるようにという助言だけで、書かれていることはほぼすべて。


で、だまされたつもりで本の言うとおりに走ってみたのですが、これが、、、楽なんですねえ。体のどこにも無理な力が働かず、自然と走れる感じです。


おそらく著者が言いたかったことは、一般ランナーがマラソンのような長距離を走ろうと思ったならばまずは効率的な基本動作を体にしみこませることが必要で、そのためには体の末端の動作を直接どうこうするのではなく、まず根っこの部分をしっかり使えってことなのでしょう。根っこである「体幹」を意識して働かせることによって、結果として手足が自然な動きをするのである、と。走るという行為は足にかなりの負担をかける運動です。そこに過度な意識を持っていってしまうと、大事な部位に無駄な力が入り、非効率な走りになってしまうのかもしれません。


日常生活でも、目先のことにとらわれていると全体を見失ったり思わぬ方向へ事態が展開してしまったりということがあります。「体幹」で走るということを通じて、「物事を局所的に見ずに、少し引いてとらえる」という行動規範を再認識した、というやや強引な結びにて本日のお話はおしまいであります。


あ、でもまじめにこの本、少しだけ理屈っぽく走ってみようと思う方にはおすすめです。


「体幹」ランニング (MouRa)

「体幹」ランニング (MouRa)