『SHOE DOG』〜 ナイキの話

ナイキの共同創業者、というより「言い出しっぺ」であるフィル・ナイト氏による自伝、『SHOE DOG(シュー・ドッグ)』を読みました。


以前はナイキというアメリカのプランドにはさほどの興味もなく、靴に関してはアディダスと同じように、コテコテ日本人型のぼくの足には合わないんだろうな、程度に見ていたのですが、8年前にランニングを始めるにあたって専門店の店員さんから勧められたのがナイキのシューズでした。アシックス製の足型解析を実施した上での推薦だったので、フィット感も悪くなく、予想に反してぼくのランニング人生はナイキから始まったのでした。


この本のタイトル『SHOE DOG』とは、靴に命をかけるほど夢中になる人、という意味があるそうですが、まさに全編を通じてナイト氏のシュー・ドッグぶりが炸裂しています。話の舞台のひとつは彼の故郷であり創業の地でもあるオレゴン州オレゴンといえば、ぼくの娘が一年間留学していた場所でもあり、本の中には、馴染みのあるオレゴン大学やその周辺、そして娘が暮らしていたユージーンという町や、ぼくが留学中の娘を訪ねて行った時に泊まったホテルまで登場(以下の写真はぼくが撮影したものですが、オレゴン大学の敷地内にある、ナイト氏の息子さんの名を冠した「マシュー・ナイト・アリーナ」で、本書にも登場します)し、個人的にただならぬ親近感を感じてしまいました。


閑話休題


本書のもうひとつの舞台は日本です。ナイト氏が学業を終えたあといくつかの仕事を経て立ち上げたのが、日本のシューズメーカー「オニヅカ」の靴をアメリカに輸入し販売する会社でした。アメリカでの販売権を得るために何度も日本との往復を重ね、一部の州での独占販売権を獲得したり最終的には全土での権利を得るところまで事業を拡大して行きましたが、会社の内情はとんでもない自転車操業で、オニヅカとの関係も怪しくなってきました。そんな時に自分たちで作った靴がナイキでした。そのナイキの設立にも日本企業が深く関わっていて、日本人としてナイキとの縁を感じられずにはいられないストーリーとなっています。


ナイト氏の性格なのか、細かく丁寧な描写が続く本編は、波乱万丈で、でも、ちょーっと長いかな、なんて個人的には思いましたが、ナイキのすべてを知りたい人にはもってこいの書です。


SHOE DOG(シュードッグ)

SHOE DOG(シュードッグ)