こちらもおいしい「若鯱家 清明山店」(カレーうどん)、しかし「錦」は別格


名古屋には、私が世界一の味と確信するカレーうどんを出す「錦」という店がありますが、会社の同僚が「ここもうまい」と紹介してくれたうどん屋に今日、名古屋出張のついでに寄ってきました。


そこは「若鯱家 清明山店 (せいめいさん・てん)」。はじめに「若鯱家」と聞いたときは名古屋発祥の同名のうどんチェーン店を連想し、「ん?割りと普通の味だけど」と思ったのですが、よくよく話を聞いてみるとそのチェーン店と「清明山店」はまったく違うとのこと。たしかに、同僚から教えてもらった店の所在地は、チェーン店のホームページには載っていませんでした。どうして同じ名前で同じようにカレーうどんを出すまったく異なる店が同じ名古屋にあるのかな、と興味を持たれた方は、こちらのブログエントリーが「若鯱家」の暖簾をめぐる歴史に詳しいのでそちらを参照してください。


さて、清明山店のカレーうどんのお味はというと、たしかにおいしい。ほどよいとろみのカレーの中に、注文を受けてから茹で始める太めのうどん、油揚げ、豚肉、煮込まれたねぎ、そしてアクセントのかまぼこが二切れ。どこでも食べられる並のカレーうどんとは一線を画しています。簡単に言えば、カレーがカレーとしてしっかりおいしい、のです。店は非常に小さい (カウンター席が 11個ほど並んでいるだけ) ですが、清潔で、気持ちよく (もちろん禁煙!) 食事をいただけます。


さて若鯱家に行ったとはいえ、それほど頻繁に名古屋出張があるわけでもないのに、錦に寄ってこないという選択肢は私にはありません。若鯱家を後にしてから約1時間後、私は錦のカウンターで今日二杯目のカレーうどんを注文していました。


果たして、"世界一" の称号は依然・断然「錦」でした。単純に旨いかどうかという物差しを持ち出せば、ひとの "好み" が評価に大きく関わってしまいますが、錦のそれは、カレーうどんにして他のカレーうどんとはまったく違う食べ物であり、ものの好き嫌いだけでは評価が出せないのではないかと思うのです。錦のつゆは、ある種の麻薬のようなもので、食べていると何がどうおいしいのかわからなくなってくるのですが、でも、気づくとすべて食べ終えていて、しかも食後の満足感は別格。


今日、若鯱家と食べ比べてひとつ感じたのが、「錦のカレーうどんは、"カレー" + "うどん" ではなく、もはやすべてが一体となった新しい食べ物である」ということです。若鯱家のカレーうどんは、ライスと一緒に食べてもおそらくおいしい。しかし、錦のカレーうどんは、たぶんライスとは合わないのではないか。そこが決定的な違いなのではないかと思いました。


若鯱家の味は努力して時間をかければ近い味が出せるのかもしれない、つまりおいしさを追及した結果の究極の味である、と思えるのに対して、錦の味はどうやってもまねできないのではないかと思わせる何かがあるのです。

若鯱家 清明山店
名古屋市千種区上野1-7-22 (Tel: 052-712-2605)
営業時間 11:30-15:00、17:00-20:00 (定休日: 火・水曜)

メニュー: カレーうどん 700円、他うどん各種