ビジネスアプリケーションの SAP が、新しいソフトウェアを正式に発表しました。オンデマンド型で提供される新製品の名称は、「SAP Business ByDesign」(http://www.sap.com/sme/)。これまでは "A1S" というコードネームで呼ばれていたものです。
SAP はドイツに本社があるソフトウェア会社ですが、発表会は米国ニューヨークにて行われました。SAP Business ByDesign は、ひとことで言えば「オンデマンドで提供される、導入が簡単で操作も易しくしかもお手ごろ価格*1な、ビジネスアプリケーションとして必要なものがひと通りそろったソフトウェア」。オンデマンドと言うと、SaaS。SaaS と言えば、多くの方の頭にパッと浮かぶのは Salesforce.com だと思いますが、SAP Business ByDesign はより "包括的" (SAPのプレス発表から引用すれば "comprehensive") であるというのが SAP の主張。つまり、対応する業務範囲が広いということ。加えて、ビジネスアプリケーションのプラットフォームである「SAP NetWeaver」上に構築されている点も特長としてうたっています。
いずれにしても、顧客から見た場合、Web を通じて製品を知り、検討し、お試し環境を経て本稼動へ移っていける "Try & Buy" の考え方は、これまでの SAP にはなかったまったく新しい販売形態と言えます。
新製品のターゲットは中堅企業ですが、既存の SAP 製品とは競合せず、あくまで補完関係にある、としています。現在いくつかの導入先行国においてパイロットシステムが稼働中で、製品としての出荷は段階的に行っていく予定。SAP が ERP 業界の巨人であることは衆目の一致するところかと思いますが、オンデマンドな世界でも主導権を握れるのか、先行する SaaS ベンダーとどう戦い、差別化していくのか、は徐々に明らかになっていくでしょう。
写真は本文と直接は関係ありませんが、仕事で徹夜になってしまった私の友達、エスタロンモカ、ゼナ、USB 扇風機、そしてトラックボールです。
*1:月ぎめで 149 USドル。利用範囲を限定したよりお得なオプションも用意
