Webサービスって、あまり言わなくなりました?


Webサービス」という言葉が生まれた90年代当時、私はその現象に違和感を感じていました。違和感の根っこは、「ここで描かれている世界で儲ける仕組みは?」ということと、「つないで出来上がったシステムのサービスレベルはどうやって保証あるいは評価すればいいのか」という点に答えを見出せなかったからであります。


その後二十一世紀に入り、技術面での整備や、俗に言う "Web 2.0" なアイデアが後押しして、眉毛の上の唾も少しずつ乾いてきたようにも思えます。しかし、この「部品化を伴ったサービスのゆるい結合に成り立つ世界」において、誰が何のために部品化しどうやって儲けていくのか、という絵はまだきれいに描けていないと感じています。部品化とは小手先の手法であって、結局のところ自社の技術を自社の描く枠組みの中で再利用しやすくするための部品化であったりするケースが多く、"他人同士" の部品がゆるく結合して商売としてお互いがハッピー (もちろん、それを使うユーザーもハッピーでなくてはいけない) な世界って、どう描けるんだろう、とふと考えることしばしば。。


南方司さんによれば、

再利用性を高めるためには,汎用的に書くことの付加価値が正しく認められ,その投資が回収され得ることを実証していく必要がある.必要なのは部品化強制ギブスのような不自由な環境や作法よりも,きちんと部品化すれば儲かると考えるに足る市場環境と実績ではないか


私たちはものごとをあまりにも単純化しすぎていないか、という確認が必要だというのが一点。商売と顧客価値の接点が人によってマチマチなのではないかという点について明確な説明をする義務がベンダー側にはある、というのがもうひとつ必要なアクション。ただもしかするとそのとき、"Webサービス" において「部品の組み合わせによって SOA 的に提供されるサービス」ということと「SaaS (サービスとしてのソフトウェア利用)」とは区別されると考えたほうが現実解により近づくのかもしれない。理想論とは別に。