『シン・仮面ライダー』いまさらながらやっと観た

観よう観ようと思いつつも結局観ずじまいになってしまう、という映画はだれしもたくさん抱えていると思うのですが、ぼくにとっての『シン・仮面ライダー』はそんな作品になりかねないひとつ。だったのですが、今回、アマゾンプライムでようやく観ることができました。

 

「シン・~」作品の皮切りとなった『シン・ゴジラ』が結構おもしろくて、期待して臨んだ『シン・ウルトラマン』が若干微妙で、まあ、庵野さん自身が監督ではなかったから仕方ないかと勝手な解釈で気持ちを整理させ、で今回、再び庵野さん自らメガホンをとるということで『シン・仮面ライダー』にはそれなりに期待していたのですが、随所に見どころはあったものの作品的には「おもしろかった!」と喜べるには至らなかったな、というのが正直なところです。

 

細かい突っ込みどころを指摘しだすときりがないので控えておきますが、全体としてみたときにもうちょっとがんばってもらいたかったなー、と感じたのは、「ショッカーの存在感がなかったこと」です。

 

ショッカー=SHOCKERの「組織の説明」は台詞レベル(文字レベル)ではなされたものの、作品を通じてショッカーという組織の存在感や「意思」みたいなものがほとんど感じられず、ストーリー展開は仮面ライダー対各怪人たち(仮面ライダー0号含)を次々に流していった、という格好になっていました。こうなるとテレビでやってる一話完結のヒーローものと何ら変わらず、主人公がいかに敵の怪人を倒すかというシンプルすぎる「勧善懲悪の戦いの連続」になってしまいます。ショッカーという組織名がひじょーに長い英語の頭文字を取ったものであるという設定まで与えたのであれば、それを体現するショッカーという組織そのものに仮面ライダーが立ち向かって、善悪とは何か、人間が犯している罪とは、とかたとえばそういった考えさせられるテーマを軸にストーリーを構成していったほうが「大人向けライダー」としては良かったのではないかな、と思いました。

 

キャスティングに関しては、大森南朋松坂桃李長澤まさみ仲村トオル安田顕塚本晋也などの大物たちをチョイ役や「声だけ出演」で配置するという贅沢をしている一方で、ファンには申し訳ないけどあの蜂女はないわー。彼女が悪いわけでもないしドラマなどでいい役していることもあるんだけど、これだけの大物に交じって蜂女を演じさせるのはちょっと酷だったかな。

 

ということで、相変わらずの庵野作品というこということで台詞が多くて疲れる(というか一回の鑑賞だけではすべてを吸収しきれない)という特徴を持つこの作品、構成やストーリーの軸を変えたらもっともおもしろくなったんじゃないかな、というのが感想でした。

 

で、最後に一言。やっぱり昭和仮面ライダーはかっこいいな!