『君たちはどう生きるか』の鑑賞後感

作品の情報がほぼ外に出てこない宮崎駿作品『君たちはどう生きるか』を観てきました。その第一印象は、映像はさすがのジブリクオリテイで息を呑むものだったけどストーリーは正直何が言いたいのか何が良いのかまったくわからん、といったものでした。

 

映像に関しては上述の通りすばらしい(ぼくはIMAXで観たので音声もグッドでした)の一言なのでここで語るまでもなく、したがって内容についてのみ簡単に所感を。

 

ぼくの目にはこの映画は単純で平凡な冒険活劇ファンタジーに見えました。主人公が次から次へと現れる危機に立ち向かい乗り越えて行くことの連続で、そこにさしたる捻りもメッセージ性もあまり感じることなく、映像で押し切った作品だな、と。タイトルとストーリーとの関連性も、作中に小道具として同名の小説が出てきて主人公がその本を読んで涙する、ということ以外の接点を見出せませんでした。もっともこれはぼくが小説の方を読んでいないせいもあるかもしれません。

 

前作『風立ちぬ』で心を強く打たれ涙が止まらなかったぼくとしては、そこで一旦引退宣言をしたことを撤回してまで『君たちはどう生きるか』を数年かけて作り上げた宮崎駿監督の内なる思いや観るものに伝えたかったことが、ぼくにはうまく伝わらなかったようです。

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映画公開後にいくつか出てきている「解説記事」や関連情報を読んでみると、第一印象で受けた時よりは少し深くこの作品に入り込めた気がするのですが、それもそういった情報を与えられて「その気になっている」「わかった気がしている」だけかもしれないし、解釈として何が正しいのかは宮崎監督のみぞ知るって、話なので、結局のところ観る人それぞれがどう感じたかが一番大事なわけで、ぼくは、うーーん、よくわからない、といった感想を持ったということです。

 

これがジブリではない他の誰かの作品だったとしたら果たしてどういう反応だっだろうかと考えると、この映画の本質が見えてくるのかもしれません。(ジブリ宮崎駿以外にはこの作品は作れん!という評価も含めて)

 

何度か観返してみればまた違った何かが見えてくるのかもしれませんので、今日はこの辺で。