「市場ナンバーワン」についてよく考えよう

最近テレビのニュース内で、「市場ナンバーワン」「顧客満足度ナンバーワン」などをうたう宣伝文句に関して注意を喚起する特集が組まれていました。物を買うときや何らかの契約をするときにはどうしても他者の評判や「実績」を頼りにしてしまいがちですが、売り手が一方的に発信する「ナンバーワン」の意味するところをよくよく考えて判断しないと痛い目にあいますよ、という内容です。

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ぼくも仕事柄、自分たちの売り物の市場におけるシェアを気にしたり、宣伝文句に使えそうな市場データをキャンペーンのメッセージに活用したりすることもあるのですが、「ナンバーワン」という表現を使うときにはお客様に誤解を与えないよう細心の注意を払っています。というか、よほどのことがない限り「ナンバーワン」とは言いません。これは、IBMにいたときに叩き込まれた行動規範なのですが、IBMでは対外的なメッセージで「最高」とか「最も優れた」といった表現を避けます。何をもって最高なのかの根拠を公平で明快なものにすることが困難だからです。

 

上記特集内での「ナンバーワン」は、明らかな情報操作、自分に都合のいい情報のみを公平ではない方法で抽出して作り出した、消費者に意図的に誤解を与える「ナンバーワン」です。とくにネット通販に顕著ですが、やたらと「ナンバーワン」とか「~優勝」、「XXグランプリ」などを強調する売り物については、その数字や表現の意味するところ、とりわけ「どういった範囲で、場所で、どういう基準でそのポジションを得たのか」をじっくり見て、考えて、信用足りうるものかを自分の頭で判断するように心がけたいものです。