「私たちは知っています」って、ほんと? (「Lotus Knows」キャンペーンによせて)


Ed Brill のブログで紹介されていましたが、Lotus (IBM) が「Lotus Knows」という新しいキャンペーンを走らせる予定、とのこと。「Lotus のことを知っていますか?」という問いかけへの回答という形で、Lotus ソフトウェアがエンドユーザーにもたらす価値を日記風 (?) に発信していくようです。驚くべきはそのキャンペーン期間で、なんと最低でも一年半! 世界中で展開するそうですので、そこらじゅうで "Do you know Lotsu?" -- "Yes, I know Lotus can help...." とかなんとか、そういうメッセージが出まくるのでしょう。(なお Twitter 上でも盛んにつぶやきが飛び交ってまして、ハッシュタグ#lotusknows)


このキャンペーン名を見て気になったのがこの "knows"。外資系ベンダーからのメッセージでよく目にする単語です。「私たちはあなた方の業界のことを良く知っています」、「あなた方の業務内容を深く理解しています」、などなど、たいていの日本語は直訳風なのですぐに原文の英語が目に浮かびます。(笑) こういう表現をベンダー側が使いたい気持ちはよくわかります。ターゲットとしている顧客層が持つ課題を正しく理解し解決方法を提示するのがベンダーの役割であるわけですから。


でも、日本語で日本人にメッセージするときは、もう少し工夫したほうがいいのではないのかな、と常々思っています。「知っています」なんて言い切られちゃうと、「ほんと?」って聞き返したくなりませんかね。むしろ嘘っぽく聞こえてしまうのではないかと思うのです。こういったケースでは、一人称で「私は」とか「知っています」と言うのではなく、該当する製品なりソリューションを三人称で表現して「XXX (製品名) には、YYY業界固有の商習慣に対応するZZZという機能が入っています」という風に、実直に、具体的事実を持って表現したほうが、納得感があるのではないでしょうか。このあたりは、欧米人と日本人の感覚の違いなのかもしれません。つまり、「知ってること」よりも「(知っていることの結果として) 具体的に何がもたらされるのか」により興味があるのが日本人。「外資系のベンダーが出してくる資料は、なんか漠然としていてよくわからん」という声をよく耳にしますが、この "knows" = "知っています" もまさに、そういった外資系特有の曖昧表現の一例だと思います。


そういう意味では、「Lotus Knows」キャンペーンが日本で展開されるときにどういう訳を当てるのかに大変興味があります。"know" という単語は中学生でも知っていますのでキャンペーン名は英語のまま行くという選択もアリですが、長期間露出するメッセージのようですからボディー・メッセージの方は場合によっちゃ工夫が必要かもしれませんね。