Chatterとともに、コラボレーションふたたび


先週のDreamforceで発表されたSalesforce.comの「Chatter」は、社内コラボレーション市場をふたたび活性化させるかもしれない。Lotus Notesもあっさり切り倒されちゃったし(笑)、少なくとも彼らの意気込みは生半可ではなく、その動きがGoogleFacebookなどの他ベンダーへ与える影響も少なくないはずです。


コラボレーション市場というと、20世紀後半はLotus Notesが台風の目でした。Notesは、人間同士の円滑なコミュニケーションと生産的なコラボレーションのためのプラットフォームとしてきわめてユニークかつ強力な機能を提供していたのですが、Notesが提供する一部の機能だけが単純化され「グループウェア」と読みかえられて以降、市場としての広がりがある程度限定されてしまったのではないか、と感じていました。


時代は変わってネットな世界。これまでブログやSNSといったネット上のコミュニケーションツールを社内利用しようという試みが繰り返されてきましたが、サービス提供者側が期待するほどの市場の盛り上がりはなかったように思います。その理由は、ネット上の道具をそのまま社内へ持ち込んでも「個人利用のためのツール」と「組織のためのツール」とでは使う側のモチベーションと使わせる側の意図がかみ合わなかったというのがひとつ。もうひとつは、企業内システムに影響力を持つベンダーが本格的に取り組まなかった(マーケティング面も含めて)ことがあげられるのではないかと考えています。(あくまで私見)


Twitterは、この「ネットツール社内利用」におけるキャズムを超えられるポテンシャルを秘めているとぼくは思っているのですが、これにしても広く社内で利用されることを想定するとまだまだ使い勝手は改善が必要だし、そもそも単体だけだと価値が理解しづらい。そこでノロシをあげたのがSalesforce.comだったというわけです。誰もが「もしかしたら化けるかもしれない」と気になっているTwitterをヒントに、ウェブ上の様々なサービスや社内コミュニケーションインフラを結合し、コラボレーションのセントラルポイントとしての「タイムライン」を作り上げたのです。


ぼくが今回のChatter発表で感じたのは、Chatter自身のインパクトもさることながら、コラボレーション市場がふたたび活発化するのではないかという期待です。昨今のクラウド世界では、アプリケーションプラットフォームとしての覇権争いが注目を集めているように感じますが、コラボレーションのエリアが活気づくことは市場へのプラスの刺激になりますし、ユーザーにとっても業界にとってもよいことだと思います。