Twitter の社内利用は害じゃない


ミクシィFacebook のような SNS やブログに代表されるネット上のコミュニケーションツールを社内へ持ち込むというアイデアは以前からあり、そのようなビジネスも育ってきていますが、正直、安直過ぎやしないかと感じる例が少なくありません。SNS やブログを使うのは通常は自分個人のためであり、組織として共通の目標を立てたり他人に評価されたりといった企業内での利用では自身との関わり方の意味が異なるため、そのまま持ってきてもなかなか活用されないというのが実際でしょう。とはいえ、ツール自身や使い方、社内制度などに工夫をすれば、導入企業のナレッジマネジメント(死語?)に一役買う場面はあるはずですが...。


で、今回のネタは Twitter。「ミニブログ」などと呼ばれていることから、SNS やブログとひとまとめにして企業への導入が有用か無用かと議論されているケースが多いですが、Twitter はちょっと別扱いで考えるべきではないかと。以前、ニコニコ動画の社内利用はイケるんじゃないかと書いたことがありますが、Twitter も素のままで十分有用だと私は思っています。


私が Twitter を使う理由のひとつは、それが RSS リーダーよりも早く、かつインテリジェントな情報源であるからです*1機械的に集められた RSS フィードの一覧を眺めるより、フォローしている方々の「これ、見て!」というつぶやきからリンクされる情報は、そのスピード感と価値において優れています。これを社内導入するということは、大半のゆるーい、もしかすると仕事に直接関係ないかもしれない「つぶやき」の中に時々流れる超速ニュースに気づきを与えられたりとか、書いた本人が何の気なくつぶやいた独り言が他の社員のヒントになる、なんていう効果を生むのではないかと考えています。


Twitter の社内利用で懸念されると思われる、「インスタントメッセージの利用で見られるような、意味のないおしゃべりで仕事時間を浪費する」という状況ですが、私は出にくいのではないかと思います。なぜなら、Twitter は個人対個人の閉じられたコミュニケーションではなくて、ほかの誰からも参照可能な「ゆるく開かれた」場を提供するものだからです。


ひとつ大事なことを言い忘れました。素のままでいい、と書きましたが、ネット上にある Twitter をそのまま使うという意味ではありません。ここで言っている社内利用とは、社員のみがアクセスできるプライベートネットワーク上に Twitter システムを立てて運用する*2という意味です。現時点で Twitter はプライベートネットワーク上でのサービスを提供していないため、「Twitter の社内利用」は正確に言えば社内利用できる Twitter クローン製品 (「Yammer」や「しゃべる」、「SMART for Business」など) の利用を検討する、というのが現実解です。(追記: あと、こういうところに相談するとか)

*1:もちろん、私もご多聞に漏れず友人が今どこで何をしているのかといったごく個人的なことを知ることにちょっとした楽しみを感じていることも事実です

*2:SaaS版でもあれば社内に立てる必要はありませんが...