本家の暖かさ 〜 とんかつ『燕楽』(御成門)


東京、千葉方面を中心に暖簾分けや系列店をいくつも輩出している御成門の老舗とんかつ『燕楽(えんらく)』。数年前に初回訪問した時はさほどインパクトを感じなかったためブログに書き残すことはしていませんでしたが、その後、池上の暖簾分け店に何度か通ったり系列店と言われる高田馬場『成蔵(なりくら)』で芸術的なとんかつをいただいているうちに、本家である御成門へあらためてお邪魔してみたくなり、仕事帰りに行ってまいりました。


久々にいただいてみると、うん、これはこれでうまいなー、と認識を新たにしました。


いただいたのは『ロースカツ定食』。「とんかつ」ではなく「トンカツ」とメニューに書かれているのが「とんかつはやっぱひらがなでしょう派」のぼくとしては気になるところですが、店の外の暖簾にはひらがなで「と・ん・か・つ」とありましたので、さしてこだわっているわけではなさそう。


で、肝心のとんかつのお味ですが、ラードの香りと平牧三元豚ロースの甘みが巧みに調和していて、衣も軽く、厚みのある味わいです。むしろ、池上の燕楽や成蔵で感じるような脂身の「サシ」がここ本家では控えめになっていて、肉本来の旨味が鼻と舌にしみ込んでいく仕上がりでした。年のせいか最近はとんかつのロース肉への過剰な「サシ」に重たさを感じ始めているので、「うまい赤身」ってこれだよな、とうなずきながらいただきました。


おいしいポテトサラダがつくのは燕楽系の共通項なのかな? あと、味噌汁がほんのり甘い白みそ仕立ての具だくさん豚汁であることこも他の燕楽といっしょです。


標準の定食で2,000円超え(ロース定食 = 2,350円)のためか、あるいは立地のためなのか、夕食時にもかかわらずあまり混雑しておらず、決して広いとは言えない店内でもゆっくりと食事を楽しむことができました。


同じ暖簾分け・系列店でも、池上の燕楽ではご主人の背中から発せられるピリリと背筋が伸びる良い意味での「締まった空気」が漂い、高田馬場の成蔵では技術に絶対の自信を持っているであろう店主が多彩なバリエーションのとんかつを提案してくるのですが、本家御成門の燕楽はアットホームな雰囲気の中で暖かな気持ちでうまいとんかつを味わえる… そんな場の提供を数十年にわたって続けてきた年輪を感じるお店です。


余談: おつまみのもろきゅうのお味噌がピリ辛でおいしゅうございました。豆板醤入り?

燕楽(えんらく)
東京都港区新橋6-22-7
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