謙虚な自信家がいい


市場のリーダーを自負する企業は「謙虚な自信家」であるべきですね。自社製品を愛し、他の誰にも負けないという自信家になることはとても重要ですが、たとえそれが競合企業からのネガティブ・メッセージであっても他人の意見には謙虚に耳を傾ける姿勢を持つ、これこそが真の市場リーダーなのではないでしょうか。


たとえば、こんな記事がありました → 『ベニオフ氏のSAP批判はSAPの強さの裏返し』(ZDNet)


タイトルどおりの内容で、SaaSの雄Salesforce.comのベニオフCEOのセリフを引用し、SAPが意に反してがんばっているように見えるので彼(ベニオフCEO)が少々苛立ち気味なのではないか、という視点の記事です。これを読んだSAP社員は以下のどちらに近い印象を持つでしょうか。

  1. 「そうだそうだ。焦りを見せてるやつは軽くスルーしてこのまま強気で行くぞ」と字面どおり受け入れてさらに胸を張る
  2. 「そうなのかもしれないけど、ぼくらは本当に強いと言い切れるのだろうか」と競合の声にひとまず耳を傾け自問してみる


さて、上記のどちらが本当に強い企業の思考でしょうか。

長らく市場リーダーを続けることにより常勝マインドで凝り固まってしまうと1.のような考え方に陥りがちですが、現在の変化の激しい市場にあっては危険な態度だといえます。もちろん、わけもなく自社製品に懐疑的では、お客様へ自信を持って価値ある提案をすることができませんが、市場にアンテナを張って「自分はきちんと価値を提供できているか」、「競合に対して優位に立てているか」を常に気にかけ、自身を冷静に、客観的に見れる目を持っていなければ、気がついたら裸の王様だったなんてことになりかねませんよ、ということ。だから、「謙虚な自信家」を目指しませんか、という提案をしてみたのです。

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