別カテゴリーのとんかつ、「ぽん太」(代官山)


上野の有名店「ぽん多」、ではなく、代官山にある「ぽん太」。
ここのとんかつには別カテゴリーを用意した方がよさそう。見た目は通常のとんかつに分類できるけれど、歯応えと味はかなり独特です。


静かで小さな店内には AM ラジオが小さめのボリュームで流れ、ちょっと時が止まった感覚。思っていたより若いなぁ、というマスターが目の前のカウンターで黙々と揚げるとんかつは、とても色白。かつを揚げる音もほとんどせず、また、脂くささも感じない空間で注文した「とんかつ定食」の皿には、上品に盛られたキャベツとなぜか芋 (じゃがいも? よくわからなかった) のフライがひとつちょこんと乗せられています。


そのとんかつ、きわめてジューシー。ただ、豚肉としてのジューシーさとはなんだか違う。言葉で表現するなら、鶏肉の「だし」でくるんだ豚肉、というのが適当でしょうか。まろやかさが豚肉のそれと違うと感じるほどユニークな、経験したことのない風味と味わいです。そのジューシーさと関係があるのか、衣には通常のとんかつのようにパリッ、あるいはカリッ、という歯応えがなく、しっとりとしています。片栗粉でも使っているのかな、肉と衣の間に膜がある感じ。新鮮な味として素直においしい一方、あえて誤解を恐れずに言うと珍味、アウトローなとんかつです。ウスターソースがいっしょに出てきましたが、このかつはそのままいただいた方がおいしいと思います。


色とりどりの漬け物はおいしく、とうふとなめこの赤だし汁の味はやや塩加減が強いがしっかりとしたもの。小さめの茶碗に入った少な目のご飯も絶品、いい仕事してます。


お値段がそこそこします (\2800円) が、一風変わった、でもおいしいとんかつに興味がわいたならば、代官山へ行ってみましょう。町並みも目の保養になりますしね。



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