長く続けてほしい、赤いとんかつ「鈴文」(蒲田)


蒲田の名店「鈴文」は、ミディアムレアな揚げ加減でいただく独特のとんかつを出します。昨年、体調を理由に一旦は閉められた店を改装し再オープン、清潔感のある店内でした。


私が注文したのは「特ロースかつ定食」(2,100円)、標準メニューのロースかつ定食との価格差は800円です。カウンター越しに老練なご主人がゆっくりと揚げるかつは、まず、厚い。そしてなにより、肉のかなりの部分が赤い!(うっすらピンク色に...などというレベルではない。赤いのである) ここまで赤いと、これはもう普通のとんかつと比較して論じるべきではないかもしれない。かつて恵比寿の「ぽん太」で感じた、別カテゴリーの味であり食感なのです。


標準的な荒さのパン粉を使った茶系の衣に包まれたミディアムレアなロースは、甘いというより旨いというべきか、脂身がしっかり「差し込んだ」もので、上質なローストビーフのような味わい。2,100円という価格設定は、とてもリーズナブルだと思います。肉全体はかなり満足感のあるボリュームなので、しっかりお腹を空かせてから出掛けることをおすすめします。


ご飯は標準的な味でしたが、味噌汁 (豚汁) は少し変わった味がします。生姜が利いているのかな、味噌は少量で、どちらかというと醤油ベースの汁のような独特の風味です。


店員の応対や店内の雰囲気もよく、寡黙なご主人がひたすら仕事をしている、そんな、とんかつ好きならぜひ足を運んでいただきたい店です。ただし営業日には注意。水・木曜日はお休みです。もっとも、かなりお年を召されているご主人とその仕事ぶりを見ていると、平日で三日休んだっていいから長くこの店を続けてほしいな、と心から思えてしまいます。

鈴文 (すずぶん) 東京都大田区西蒲田5-19-11
TEL 03-5703-3501
営業時間: 11:30〜14:00、17:30〜20:30
定休日: 水曜・木曜


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