部活動は、ほどほどに。


公立中学校が塾から講師を招いて特別講座を開いている、という件に関連してひとこと。


"成績をより伸ばすために" 学習塾で施しているような教育*1を安価に受けさせる場を公立中学校と塾が協力して設けようという試み自身は、悪くない。ここで申し上げたいのは、この講座の是非ではありません。


このエントリーでのポイントは、こういった風潮が一般に受け入れらていく過程で、学校側の注力が学業以外の部分へ偏り過ぎやしないだろうか、という点です。学校でしか学べないような集団生活や部活動、その他いわゆる社会勉強の類に学校が力を入れること自体は大いに結構なのですが、これが行き過ぎて、勉強とそれらとのバランスが失われやしないか、てことを危惧するのです。いやもっと限定的に言えば、部活動の行き過ぎ −とりわけ活動時間− が心配。


部活動に熱心な先生や学校、地域では、「子どもに勉強ばかりやらせるのはよくない」、「勉強外での活動、友達づきあいを通して健全な心を育成できる」といった考え方が部活動推進における強力な「黄門様の印籠」となっています。これら部活動の意義には大いに賛同します、がしかし、大切なのは何事もバランス。例を挙げます。学校では定期試験直前の一定期間(たいていは一週間程度)は部活動禁止になります。これって「日ごろ部活動にまい進するのは結構だけど、定期試験の前くらいは勉強に集中しろよ。学校もそれを奨励する」っていう意味だと理解しているのですが、この期間に発表会やら大会やらが入ってくると、それらへ向けた練習を優先させる部活動が出てきたりする。あるいは、子どもが塾で大切な試験や講義があるので練習を休みたいと思っても、それを許さない雰囲気が部活内にある(特に中学一、二年生のとき)、など。これらは各部活動の顧問の先生、もっと言うと、学校あるいはその地域の教育委員会の方々の考え方ひとつで変えていくことができると思うのですが、今回とりあげたような「勉強を伸ばすのは塾」という風潮が浸透してきちゃうと、それにともなって先生方の注力が勉学以外のところへより向いてしまい、それもままならなくなってしまうのではないか、というのが私の懸念点です。


私は、中学時代に子どもを勉強漬けにすることはまったく望んでいません。でも、やらなくてはいけないときがある。そこへ来て、「塾@公立中学」を表面的になぞるような軽々しい思考*2に学校側が陥らないように、また、そういった「形式だけ思考」が、勉強をしたいと考える子ども (や家庭) の時間を部活動への参加という形で強制的に奪うことを後押しする材料にならないよう、切に願うものです。

*1:ここで「そもそも教育とは」なんていう議論はナシね。ここでの「教育」とは国語算数理科社会,,, お勉強のことです

*2:誤解なきよう補足しておきますが、私は、杉並区立和田中学校のような取り組みは一定の評価をしています。冒頭書いたように、ここではこの取り組み自体をどうこう言うつもりはありません。そうではなくて、「塾@公立中学」という形式だけが一人歩きすることを懸念するのです