身近な磁石にやられちまった、の話


以前、会社から貸与されている PC (ThinkPad) のハードディスクが幾度となくクラッシュ、再起不能となる事態が続いていました。おかげで PC 環境の現場復帰のスペシャリストとなってしまったわけですが(笑)、今回は、身近な磁石には注意しましょう、というお話です。


何度も繰り返されたクラッシュはその原因がさっぱりわからず、あるときは「ハードディスク・アクティブプロテクション・システム」のバグかと思って設定をOFFにしてみたり感度を調整してみたり、またあるときはセイコーキネティック」の発電機が ThinkPad の HDD に何らかの干渉を与えているのでは、などと考えて腕時計を外してみたりしたものの、やっぱりまた壊れる。


そんなある日、HDD がクラッシュするその瞬間を感知することができました。それは社内会議中、ThinkPad をまさに "ラップトップ" として太ももの上に乗せてタイプしているときでした。「やや。今まさにクラッシュせり」を感知すると、全神経を ThinkPad の HDD が位置する箇所 (使用機種は ThinkPad X41。HDD はキーボード左下のパームレスト部分に内蔵) に集中させしばらく注意深く観察していると、あった、ありました! 犯人はズボンの左ポケットにいつも入っていた磁石付きマネークリップ。こいつがちょうどいい具合(?)に HDD の真下に位置したとき、HDD がやられちゃっていたのです。マネークリップの磁石は強力なものではなかったのですが、それでも密着すると HDD はイチコロってことですね。


さて、磁石ついでに別な観点からの事例をもうひとつ。


先日、会社の上司が、「どうも最近、俺の時計が壊れるんだよねぇ」と嘆いていました。その時計は、とあるブランド品なのですが、いわゆる機械式の時計。壊れた時計を修理に出すと、職人さんから「お客さん、近くに磁石とか置きませんでした?」 「いいえ」 「それじゃあ、スピーカーは?」 「スピーカーぁ? ぼくはオーディオに興味ないし...」という会話があったそうです。その上司があるとき「ねぇ、ThinkPad のスピーカーって、どこにある?」とぼくに質問してきました。「それはですね、はい、ぼくと同じ X41 ですね、てことはちょうどパームレスト真ん中の裏あたりに...」と言ったところで「それだ!」と叫ぶ上司。そう、時計に悪さをしていたのは ThinkPad のスピーカーだったのです。(こっちは実は、まだ微妙に半信半疑だったりしますが...)


身近な磁石には注意しましょうね、というお話でした。


【後日談】
これらの事例を総合して考えると、ThinkPad X41 って、ちょっと危険な設計だったのかな、と思ったりします。マネークリップの磁石でイカれてしまう HDD と、時計を壊してしまうような磁気を持つスピーカーが、わずか数センチの近距離に配置されているのですから。