インターネット冷蔵庫が必要になるとき


先週末の土曜日は息子が通う小学校の運動会が開催される予定でした。しかし天候が思わしくなく、翌日曜日へ順延。しかもその日曜も終日雨で、結局水曜日に延期となってしまいました。


天気予報によれば土曜の天候は非常に怪しかった。でも、みんな運動会は好きだし、子どもたちも前日は珍しく早寝をして体調管理に抜かりはありませんでした。親たちは場所取りのシートを敷きに早起きをし、また、弁当の用意も済んでいました。万全。


すべての準備が整い、子供たちが登校する少し前のタイミングになって非常に弱い雨が落ちてきました。家族中で心配していると、家の電話が鳴ります。そう、電話による連絡網。「運動会は開催。でも万が一に備えて勉強道具の準備もして登校させてください」。よし。息子を登校させつつ、連絡事項を正しく次の家庭へ電話し、あとは自分たちの出発時間までしばし待ち時間。ところがここで雨がやや強くなってきます。「ちょっとこれでは運動会は厳しいかな」と夫婦で会話しはじめたものの、連絡網では「開催」と流れてきたきり音沙汰なし。うーん、と思っていたそんな時、学校のすぐ近所に住んでいる同級生のお母さんから「いま学校に聞きに行ったんだけどね、今日は取りやめだって」とのこと。同じ内容を知らせる連絡網が回ってきたのはかなり後になってから。タイミング的には、本来すでに学校へ向けて出発していた後の時間でした。


これだけインターネットが身近になって、ほとんどのひとが携帯電話でメールをやっているご時世、自宅電話による連絡網って非効率だよなあ、と一瞬思う。。しかも、市が運営している Web サイトの中にうちの息子が通う小学校の文字通り "ホームページ" が存在しているということ聞き、ますますその思いは強まります。


すぐさま、(1) ホームページに「運動会に関するお知らせ」をアップする、(2) 学校から保護者の携帯へ向けてメールによる一斉同報を行う*1、ぐらいのことできるはずだよなあ、って考えたのですが、これ、実は敷居が高くて割に合わないことなのかもしれません。


まず第一に、かなりのリアルタイム性と正確性が必要だということ。時間的余裕を持って伝えることができないがゆえに、連絡網というシステムに頼るわけで、「いま出したい!」という内容をすぐに発信できなくてはいけない。それを実現するために、Web サイトの更新や、電子メールの発信をクイックに間違いなく (とくにメールまわりは個人情報の問題にならないようしっかりした対応が必要です) できる体制と仕組みが学校や市の側に持てるんだろうか?という課題に気付きます。私立学校ならいざ知らず、うちのような公立校ではほとんど期待できないでしょう。


第二に、仮にこれらのサービスを外部委託することまで含めて考えたとしても、コストに見合わないのではないかということがあります。家族に確認してみると、電話連絡網が必要になるのは一年で1回あるかないか程度とのこと。そのような低頻度の利用目的に用意できる予算が学校にあるとは思えませんし、給食費未払いをするようなとんでもない親たちがいる世の中では、各家庭に負担させるという話も実現しないでしょう。


結局のところ、いつまでたっても連絡網に頼らなくてはいけないのかなあ。連絡網って、時間かかるし、人が関わることなので間違いがないともいえないし、時々非協力的な家庭があったり、たまたま不在にしているとその人を飛ばして連絡する必要がある一方で連絡がつくまで飛ばしてしまった人に連絡を試み続けなくてはいけない、などなど、結構大変なシステムなんですよね。こういうことが利用者に努力を強いることなくさりげなく実現できていないということを目の当たりにすると、ネットはまだまだ生活に浸透していないことを痛感します。


ネットが早くパソコンから脱出しないといけないのだと思います。Wii があればテレビでネットを見られますが、そうじゃないんです。携帯でネットを見てる?それもちょっと違う。ネットをネットと意識せずに利用できるようにならないと。やりたいことと実現方法は垂直統合されていてはいけないのだ。そのためのネットであり IT であると思うんだけど。


やっぱり、インターネット冷蔵庫は本当に必要なんだ。

*1:携帯を持っていない、登録したくないひとたちだけは、従来どおりの電話連絡網にすればいい。おそらくかなりの少数派だと思うので