LINEが本当にキャズムを超えるのはぼくが使い出した時だな、と。(『LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか?』を読んで)


コグレさんとまつもとあつしさんによる共著『LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか?』(マイナビ新書)は、「LINEとは何か」、「いま、LINEをめぐって何が起きているのか」を理解するための、もっともわかりやすく、無駄のない、しかも単なるLINE賞賛本でもない、最適な書です。

LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか? (マイナビ新書)

LINE なぜ若者たちは無料通話&メールに飛びついたのか? (マイナビ新書)


おそらくこの本を必要としているのは、LINEを知っているつもりでいるものの自分ではそれほど使ってなくて、「もしかして俺の知らない何かがあるんではなかろうか」と若干の不安を感じているIT業界の人、あるいは、「テクノロジーのトレンドにはそれなりにアンテナ張ってるぜ。だけど何がいいんだよLINEてよ」とやや斜め目線ながらも実は横目でLINEが気になっている諸氏向けではないかと勝手に思っております。


ぼくは、LINEの登場は「新電話」あるいは「メールから分化した新次元コミュニケーション」ではないかと思っていて、それこそ21世紀を代表する歴史的出来事として後々語り継がれるんじゃないかと考えています。これはネットの上で起きたある種の革命で、タイプは違いますがツイッターの次に来た革命児という印象を個人的には持っています。本書にも繰り返し書かれていますが、人のネットワークを広げよう広げようとするのが一般的なSNSであるのに対し、LINEは「アドレス帳に乗っている人」に限定された閉じたネットワークの中でのコミュニケーションを徹底的に突き進んでいるという点にその特異さが現れています。また、IT最先端なユーザーからではなく、その逆の層のユーザーから爆発的普及が進んだという点もきわめてユニークで、とにかく、従来のコミュニケーションツールと比べて生い立ちも普及の仕方も全く新しい、そんな得体の知れない、とにかくすごいサービスなのであります。(と、いうことが同書を読めばよくわかります)


なのですが。ぼくはLINEを使っていません。iPhoneにインストールはしてありますが、まったく使っていません。LINEがダメということではなくて、今のぼくには必要ないのです。


ぼくはもともと、ケータイで友達と頻繁にメールのやりとりをする方ではありませんでした。ゲームもやりません。ゆえに、ケータイの用途は一日にせいぜい1回程度家族とメールのやりとりをするだけ、電話は週に何度も使わない、という程度です。それはガラケーからスマホに移行しても基本的には変わりありませんでした。こんなにもツイッターを使っているのに、です!(笑)


さきほどLINEをして「メールから分化した新次元コミュニケーション」と書きましたが、もともと個人でメールや電話をそれほど使ってないぼくのような人間からすると、LINEは使い道がなく、必要性も感じないのです。だから、もし本当にLINEがキャズムを超えたと言える時が来るのだとすると、それは、ぼくのような人間をもその気にさせる魅力あるサービスあるいはプラットフォームにLINEが進化するか、あるいは、普及がもっともっと進んでぼくでも使わざるをえない状況が生まれるかのどちらかかな、と思っています。そして、その実現性を少なからず感じさせてくれるLINEは、ネットを通じたコミュニケーションにおける革命児であることは間違いなさそうです。