納得できない受験の常識、『文字式にはカッコをつけるな』


中学生の習う数学は「正負の数」で始まり、「文字と式」、「方程式」と続きます。その「文字と式」においてちょっと驚いたことがあったので記しておきます。


たとえば、以下のような問題が出されたとしましょう。

リンゴを 6 人に x 個ずつ分けたら 8 個余りました。リンゴは全部で何個あるか、もっとも簡単な式で表しなさい。


これは、娘の通う塾で実際に出されたものと同じパターンの問題なのですが、娘が解答欄に書いたものと私の考えはまったく同じで、

答: ( 6x + 8 ) 個


でした。ところが、戻ってきた答案にはバツ印。何が間違っているかわからなかったので塾へ問い合わせてみると、「文字式の回答でカッコを付けてはならない」が理由とか。


どう考えてもおかしい、と私は思いました。今回の例で言うと、「6x + 8」全体をひとつの数として表した上で "個" という単位を付記しなくてはいけないはずで、式に加減記号が含まれる、すなわち複数項で構成されているならば、ひとかたまりであることを表すために当然カッコを使うべきである、と私は考えます。逆にカッコをつけないと、"個" がかかるのは "8" に対してのみであって、式として不完全なもの (単位のわからない "6x" と、"個" を単位とする "8" の足し算をしていることになる) になってしまいます。


この自分の説の裏付けるため、中学校の数学の教科書および学校で配られている問題集を参照しました。すると、どの文字式も解答欄ではカッコが使われているではないですか! (加減算が含まれないものはカッコ不要なので省略されています)


ほーれほれほれ、と得意げに教科書持参で塾へ再確認しにいったところ、改めて言われたのが「受験では、カッコをつけてバツになるケースがあります。なので、カッコはつけるべきではないのです。実際私も (←塾の先生の言葉です)、かつてあなたと同じように考えてカッコを付けて解答し、思い切りバツをつけられたいやな思い出があります」とのこと。一説によると、解答欄でカッコを用いることは、指定された場合を除き "回答途中である" とみなされることがあるのだそうだ。


教科書と同じ表記をしているにもかかわらず受験で不正解とされてしまうのはまったくもって納得がいきませんし、論理的に考えてもカッコはあるべきだと今でも思っていますが、それが現実ならば受け入れるしかないでしょう。(私ひとりが騒いだって、その現実は変わらない) ...文字式にはカッコをつけるな


あらためて、日本の受験制度ってまったく何なんだろう、と思ってしまいました。