やっぱいいわ、『インターステラー』

大ヒット中の『君の名は。』を劇場で見てからというもの、無性に2年前の『インターステラー』を見返したくなり、レンタルして3回も見てしまいました。いろんな意味で傑作ですねー。ノーラン監督天才。圧倒的な完成度。


SFものは筋書きや各シーンの作りに対して「科学的根拠の納得感」がどの程度かでその作品へのめりこめるか興ざめしちゃうかが分かれます。これ、あくまで「納得感」という感覚的なものなので、正確性・厳密性とか専門家が見てどう評価するかなんてことはさほど重要ではなくて、作品で描かれる「現実離れした描写」についてある程度「大衆離れしない説明」を試みてさえいればいいのです。肝心な点についてまともな説明がなかったために最後まであの作品にのめり込めなかった堅物のぼくから見ると、それなりにつじつまの合う説明があった『インターステラー』のSF的描写はただでさえ隙のない緻密で重厚なシナリオをまったくスポイルすることなく最大完成度のSF大作に仕上がっていました。


<以下ネタバレ要素あり、です>


ハードなタッチで2時間以上も理系攻めを続けておきながら最後の最後で「でもやっぱ愛が最強だぜ!」と大声で叫んで終わるという科学もへったくれもないどんでん返しには、そう来るかー、主要登場人物がみな満ち足りて幕を閉じるなんてもしかしてハリウッドの大人の事情?などと一瞬唖然とするものの、そんな展開であるのに、それでもなお、「もしかしたら幽霊って本当にいるのかもなー」と思わせてしまうほど素晴らしい映画になっているのは、ノーラン監督しか成し得なかった偉業だからってことなんでしょうね。