大河『平清盛』、まれに見る傑作だった!


今年のNHK大河ドラマ平清盛』が終わりました。放送開始直後から「画面が汚い」などの酷評や記録的な低視聴率にみまわれながらも、松山ケンイチさんはじめ出演者の方々、スタッフ、その他関係者のみなさん、一年間お疲れ様でした。


ぼく個人としては、『平清盛』はメチャクチャおもしろかったです。いや、おもしろかったと言ってしまうと軽いですが、「作品」としての厚みと重みと濃さという面では大河史上まれに見る傑作だったと思っています。ただそれが、「大河」の視聴者層からは受け入れがたい方向性だったということでしょう。そういう意味で「大河」としては失敗だったのかもしれませんが、クランクアップセレモニーの模様を残したオフィシャルサイト内特設ページでの出演者、関係者のあまりにも充実した表情を見て、何だかほっとしました。ちなみにこの特設ページでは低視聴率にネタとして触れています。オフィシャルサイトで低視聴率の話題を取り上げるほど、自分たちとしては自信がある作品となったのでしょうね。


ぼくは映像関連の仕事をしたことがないので本当のところはわかりませんが、『平清盛』は、映像、シナリオ、音楽、それぞれのクオリティが半端無く高く、関係者のこだわり、妥協しない信念みたいなものがビシビシ伝わってくる作品でした。それが結果として、リアリティーを追求した汚い画面だっり、大河としてはちょっとキツいんじゃないかなーというグロテスクな表現につながり、敬遠されたのでしょう。崇徳上皇の怨念シーンなどホラー映画ばりでしたし、藤原成親が亡くなるシーンの蝉も怖かった。禿(かむろ)の描き方もゴールデンタイムにはどうかという絵でしたし。また、いわゆる大御所系の役者さんがほとんど出演されていなかったことも低評価の一因だったかもしれません。オープニングのクレジットで最後の方に出てくる役者さんの「格」ですね。


逆に、この作品を評価する人たちはおそらく、そういった「大河らしくない」ところに惹かれる何かがあったのかもしれません。ぼくもそのひとりです。とはいえ、あのクオリティーは大河でなければ絶対に成し得なかったであろうし、方針を変えさせなかったNHKにも拍手です。


さて来年の大河は『八重の桜』。ドロドロした平安時代から一気に安心の(?)幕末〜明治へと背景が変わります。東北復興支援の側面もある作品で、これまた楽しみであります。冒頭の写真は上野駅にぶら下がっている広告。とても巨大で、インパクトがあったので思わず撮影してしまいました。