すばり、感想。「梅田望夫 講演会&サイン会」@丸善・丸の内本店

saitokoichi2007-11-14



ウェブ時代をゆく』出版を記念した梅田望夫さんの講演会&サイン会*1に行ってきました。


『密室での部屋芸は得意だが』とフリつつ、「まっとうな」講演会*2はえらく緊張すると始められた1時間のお話は、あっという間に終了。質疑応答の時間では抑えきれずにつまらない質問*3にをしてしまいましたが、肝心のご講演、「今回の本ができるまで」、「なぜ、これを書いたのか」、「(一旦は書いたけれど) 載せなかったこと」の三本立て、堪能させていただきました。これ、きっとあとで「公式に」YouTube とかに講演の模様がのるのかな? ぜひそうあってほしいですね。


「頭で読むか、心で読むか」 -- 本に「ファクト」を求める「頭で読む」ひとは、とりたてて新しいことが書かれていない「ウェブ時代をゆく」には感動できないとのことでしたが、ぼくも元来はファクト志向だったはずなんだけど、同書に心揺さぶられ*4ました。なぜなんだろう、って思ったんですが、著者に「ヨコシマな」心がなく読み手にも「邪念」がなければ、本という媒体を通じて著者と読者のハートが同調するというのは人間の本性なんだろうな、というのが自分なりの結論。


著者の「ヨコシマ」については講演で言及されていましたが、「書いた本が次の仕事の種になる」という下心を持ってしまうこと。読者側の「邪念」は、「梅田望夫という名前」から入ってなにか批判してやろう、あるいはその逆でなにか新しいことが書いてあるに違いない、という具合にポジティブでもネガティブでもいずれにしてもなにかしら「あらかじめ決め付けてしまった価値」を期待して持って読んでしまうことかな、と。「ウェブ時代をゆく」は、実は、自分でも不思議なくらい「変な期待を持たずに」読み始められました。「変な期待を持たない」ってことは、「期待していない」とは違うんです。期待はしつつも先入観は持たずにその本の世界へ入っていく、そういう状態。だから、もしこれからこの本を手にする人がいるとすれば、「きっと期待は裏切られるから、素の心で読みましょう(←ここで言う「期待」は「先入観」と同義)」と伝えたい。そうすれば、きっと何かが心を揺さぶるはず。これ、この本だけじゃなくって、もっと言うと書物に限らず、人と人、人と世界(or モノ)、ありとあらゆることに適用できるような気がします。


最後に。「なにか重要なことをひとつやめるという決断をしなければ、新しいことは始められない」というのは講演でのひとつの重要なメッセージでしたが、これ、ひっじょーに難しいテーマですね。帰宅途中の電車中なんかじゃ結論出ないです。(笑)


(2007/11/15追記: 会場の様子、梅田さんの講演内容についてはこのエントリーに結構詳しく書かれています)
(2007/11/16さらに追記: 筑摩書房さんのサイトにもご講演の様子が載っていますね)
(2007/11/19さらにさらに追記: こりゃ完全版だ)

*1:本のサイン会という意味では、ウルトラセブンを演じられていた森次晃嗣さんの「ダン」サイン会のために神田三省堂で並んだのが約十年前、それ以来のことです。

*2:振り返ったら、聞くのほうのぼくも「講演会」なるものは初めてだった。

*3:『「ウェブ時代をゆく」をきちんと読み込めない小中学校生へのメッセージは?』という質問への梅田さんのコメントは、『「フューチャリスト宣言」のなかで特別講義として収めたところにあるんだけど...』との第一声で始まりました。そうだ!そうです、同書はもちろん読みましたが、1回しか読んでいなかったので梅田さんに指摘されるまで忘れてしまっていた。。。お恥ずかしい

*4:本の感想はこちら