ER がまた終わってしまった


アメリカのテレビシリーズ『ER 緊急救命室』第12シーズンの放映 (NHK BS2) が今週の月曜で終わりました。ER は、正統派ドラマの中ではダントツにすばらしい作品だと思っていて、次のシーズンが待ち遠しくてたまりません。本国ではすでに第14、つまりふたつ先のシーズンが始まるところですが、あの密度の高いセリフを英語で理解しきる自信はないので、日本語吹き替え版は必須です。(笑)


このドラマの何が良いかと言うと、カメラワークがすごいとかしっかりしたシナリオだとか医学的本物感とか、いろいろ言われていますが、そういったどちらかというと技術的な部分はそれはそれでいいんだけど、私が感銘するのは、


(1) メッセージがシンプルかつクリア
戦争、人種差別、幼児虐待、性暴行、銃、テロ、ドラッグ、といった社会問題をリアルに描き、明快な批判メッセージを発信しています。最近のシリーズでは戦争批判が、もっと言うとイラク戦争への批判が主要登場人物の戦死という形を通してさらに強まり、それと対比するようにダルフール (アフリカ) の深刻な人権問題に焦点を当てるなど、メッセージが強化されてきているように思えます。なおダルフールに関して私たち日本人は国際社会に取り残されている感があって、当地で起きていることが報道されることは日常的にほとんどありません。


(2) 登場人物がみな生きている
人間、良い面もあれば悪い面も持っています。ER では、登場人物にはみなクセや欠点があります。どうしようもない不良医者も、ふっとしたときに優しさが垣間見えたり、人の描き方が徹底してリアルです。アメリカのドラマでは人物像がしっかり描かれているものが多いですが、ER はその中でもとくに優れていると思います。


(おまけ) 日本語訳と吹き替えが良い
日本語訳がよいです。それと、吹き替えの俳優さんがみなほんとにうまい!


ER の好きでないところは、シーズンの最終回がたいてい変な終わり方をすることです。シーズン中のエンディングはいつもしっとりと終わるのに、最終回だけはブツ切れ、つまり次回を早く見たくなる状態で終了してしまうのです。しかし、次シーズン開始は何ヶ月も先。。。 これだけはなんとかしてもらいたい。たとえば今回のシリーズの最終回などは、主要登場人物が銃で打たれたり薬を撃たれてやばいことになったり妊婦が血を流して倒れたり、そんな状況で終わってしまうのです。どーにかして! (...と言いながら、がまんできずに ER の web サイト (ここ) で続きのストーリを読んでしまったのでした)