WindowsアプリをAppleデバイスから使ってみる


勤務先のネットワークや社内向けサービスへオフィス外からアクセスできるようにするために、VPN*1やデスクトップ仮想化*2といった手段を会社が用意してくれているのですが、デスクトップ仮想化をWindows以外の環境から使ってみたらちょっとおもしろかったのでメモしておきます。


使ってみたのはCitrixの仮想化アプリ「Citrix Receiver」。このアプリを手元のデバイスへインストールすると、会社でのPC使用環境を仮想的に再現してくれます*3。技術的には、OutlookExcelなどのアプリケーションがネットワークの向こう側で動作しそれをこちら側から操作しているという構図(つまり各アプリケーションは手元のデバイスで動作しているわけではない)になるのですが、仮想環境下かどうかをあまり意識せずに使えるというのがこの手の仮想化ツールのウリです。


ということで、Citrix ReceiverをAppleのデバイスMaciPhoneiPad〜で順番に試してみました。ちなみに会社の標準OSはWindowsなので、遠隔操作で「仮想的に」使うアプリも当然ながらすべてWindows版です。


Mac環境
Macの中でWindowsアプリが動くのは不気味ではあるものの(笑)、おもしろいかと言われればそれほどおもしろくはありません。ほほー、なるほど、という程度。操作も違和感はあまりありません。


iPhone環境
3GでもWiFiでも速度差はあまりなく、モサモサ動きます。つまり遅い(笑)。それでも、緊急用と割り切れば使えなくもないです。メールやスケジュール(Outlook)、イントラネットInternet Explorer)がチェックできるのは便利。

ただ、いかんせん画面が小さすぎる。個々のWindowsアプリはモバイルデバイスを意識して作ってませんので使いづらいのは当然なんですけどね。その使いづらさをカバーするためにCitrixの方でいくつか道具を用意してくれていて、たとえば矢印キーとか特殊キー(AltとかCtrl、Tabやそれらの組み合わせなど)も使えるようになっています。これらの機能はiPhoneiPad版共通。なお日本語の入力は「キーボード」ツール上で一旦日本語変換をした上で、それをアプリ側へ渡すという二段構え*4になります。

 
一つ目の画面は日本語入力をしているところ。一旦変換後、アプリ(画面ではOutlook)へ転送します。次の画面は特殊キーがボタン(画面では「ウィンドウを閉じる」、「Alt + Tab」が表示)で表現されていることがわかります。


iPad環境
画面が大きい分iPhone版より格段に使いやすい上に、iPhone版にはなかった特長として「トラックパッド」というモードがあります。Macトラックパッドを模倣したモードとでも言いましょうか。これがちょっとだけ便利。

iPhone版では画面が小さいせいもありますが思ったようにタップできないケースが多発します。指によってタップしたい部分が隠れてしまうというジレンマですが、前述したようにアプリ側がタッチ操作を想定していませんのでこれは仕方のないところです。ピンチインで画面を広げてから狙いを定めてタップすればいいのですが、それだと画面の拡大縮小が多発し生産性が下がります。

iPad版に用意されている「トラックパッド」モードを選択すると、画面上にカーソルが表示され、画面上に置いた指でそのカーソルを操作できるようになります。指はカーソルの上にある必要はなく、画面上のどこに指を置いても指に動きに合わせてカーソルが移動します。まさに、画面全体がトラックパッドになった状態です。これを使うと、タップしたいところが指で隠れることがないし、カーソルによってタップしたいところを正確に指し示せます。この動きが不思議な感覚でちょっと楽しげ。

2011/05/02追記:「Citrix Receiver iPad 日本語入力できない」などのワードでググってこのエントリーにいらっしゃる方が多いようなので、補足。日本語を入力するには、ソフトキーボードの左上のところにある「A」とか「T」とかいう小さなボタンの「T」を押してみてください。するとすぐ右のボタンが表示されている部分が一行入力エリアに変わります。あとは、日本語入力・変換をその一行入力エリアで行って、右端の「送信」ボタンでアプリケーションへ文字を渡せばOK。


iPad版でキーボードと矢印キーを表示させたところ。iPhoneよりだいぶ余裕があります。



iPad版のメニュー。右のほうに「トラックパッド」というメニューがあり、これを選ぶと画面上にカーソルが現れます。ちなみに左から二番目の「ペア」を使うと、Bluetooth経由でiPhoneトラックパッドとしで使えます。そこまでやるか…w


ということで、Macからは不気味だけど比較的違和感なく普通に使える、iPhoneだと画面が小さくて使いづらく緊急用、iPadiPhoneより使いやすい工夫があって補助的利用ならそれなりに使える、といったところが使用後の感想です。

*1:ネット経由で会社のネットワークへ仮想的に接続する方法

*2:会社のPC環境を別なPCで再現する方法

*3:実際には自分側にこのアプリがあるだけではダメで、会社のネットワーク側でも必要な環境が整っている必要があります

*4:Macの場合もインラインでの入力はできず、変換ウインドウで確定させてからアプリケーションへ渡します