機能とデザインの最適バランス(iPad編)


以前iPhoneアプリの使いやすさについてブログ(参考:『機能とデザインの最適バランス』)しましたが、iPadでは同じことは起きないだろう、と思うようになってきました。理由は、画面が広いから


画面が小さいiPhoneでは表示要素を絞り込む必要があり、結果的にシンプルでわかりやすいインターフェイスのアプリが多くなります。iPhoneアプリでは、画面間の関係性、遷移のスムーズさが重要な要素なのです。一方画面が広いiPadの場合、自由度が高いがゆえにアプリの良し悪しが画面デザインの出来不出来に依存するようになり、開発する側も利用者側にもかえって負担が大きくなってしまうのではないだろうか、と思うのです。


平均的にシンプルで、ある種の一貫性*1があったiPhoneの操作性に比べ、アブリごとに性格の違うユーザーインターフェイスが可能なiPadでは利用者にとっての「使いはじめの敷居」が高くなるかもしれません。使い込めばむしろ快適さ、というアプリもあるかもしれませんが、iPhoneアプリの利点だった「だれでもすぐ使える」感からは後退します。開発する側も、デザイン勝負になると広いキャンバスにどういう絵を描くかという点により知恵とセンスが必要な「画面演出とインタラクティブ性」のアイデア勝負になるため、求められるスキルの質と高さがより上がるように思います。


結果として、iPadではiPhoneのように何万何十万もの「アプリ」が爆発するのではなく、用途としては、

  • iPhoneで評価を得ている一部のアプリが大画面に対応したもの(元々操作性の良さが実証済)
  • 画面が広ければ広いほどよい、ブラウザ(で見るウェブ)や地図的なもの、ゲームなど
  • フォーマットがある程度固定化される電子書籍
  • ごく少数の新メディア的なもの(それがどんなものかはまだわからないけど、かなりサバイバルな領域になりそうで、多数が乱立する状況が長く続くか疑問)

あたりに落ち着くのではないか、と感じています。


アプリ次第なiPhone、メディア次第なiPad、といったところでしょうか。

*1:たとえば画面は基本的に「上下」のナビゲーションとなる