ノーツの効能(7) - なぜネットにグループウェアがないのか


なぜネットにグループウェアがないのか』というタイトルが目にとまり、一筆。


当該エントリーでは、ブログやSNSなどのネット発ツールが企業内へ導入される一方、逆な動き、つまり企業内システムとして生まれたグループウェアがネットへ入っていくことはないのか、について「それがないことは明白でしょう」とエントリーの前半で結論づけ、残りはブログ/SNSの社内活用についての考察へ移っています。


「ネットは個人と個人が対等に自由につながる場であるからして、グループウェアはネットに不向きである」、つまり、フラットなネットには稟議申請やスケジュール調整はちょっと違うんじゃなあい?というのが、筆者の考えです。


はい、その範囲ではそうですね。でも、グループウェアって、ぼくの考えでは稟議申請やスケジュール調整っていうのはごく一部の機能。だから、上記エントリーでいう「グループウェア」は、ある意味狭義のグループウェアというか、その言葉の指す範囲がグッと広がっちゃったグループウェアっていう条件つきで、賛同いたします。


でも、ロータス ノーツ (IBM Lotus Notes/Domino) が企業内フラット・コラボレーションのスーパー・プロデューサーであることをお忘れなく。以前のエントリーで書きましたが、私はノーツでワークフロー(ここではいわゆる稟議申請の類を指します)をやることは必ずしも向いていないと思っているし、スケジュール管理なんて4つめのメジャーバージョンまで機能として含まれていませんでしたから。


ノーツはもともと教育支援ツールとして考案され、物理的に離れたところにいる者同士がどうやったら共同作業とか情報共有が上手にできるか、っていうところから出来上がったソフトウェア。形としてはサーバー/クライアントとなっていましたがそれはシステムを管理するために当時はそうせざるを得なかったというだけ*1で、利用者からするとまったくのフラットな世界を提供するものです。ブログが持っているトラックバックRSSといったちょっとしたアイデア(でもとっても重要だけど)に気付けなかったけれど、「文書リンク」は URL に普遍性 (う、ちょっと大げさか) を持たせているし、情報を文書単位でとらえるっていうところはブログ/パーマリンクの思想へ通じます。


上記のようなことはノーツを知っている人には常識なのでしょうけれど、「グループウェアはネットの思想とは相容れない」と簡単に片付けられちゃったので、ちょっと反応してしまいました。


とはいえ、ノーツがネットの世界へ輸出できてるかっていうと、できてないですね。これは事実。ただこれも、再三言っている (こことか、こことか) ように、Lotus Quickplace (ベースがノーツでできている) を輸出してみたら面白かったと思うんだけど。(ここでいう輸出=ネット上で無償で使わせるなり、あるいは少額なサービスでインフラとして活用してもらうといったこと)

*1:ネットだって、「Webサーバー」がいるから成立しているわけで、乱暴に言うと同じようなこと