デる杭は打たれてもへこたれない

上の写真の御方、誰だかわかるでしょうか? IT業界にいる人なら分かりますよね。え、わからない??

 

この方は、デルのCEO、30年ほど前のマイケル・デルさんです。ぼくが大事に保管している『シリコンロード ~日米46人のキーマンによる "パーソナルコンピュータ" 史』(ソフトバンク刊)という本に若きCEOとして載っていたものです。


この本、1993年刊行で、当時のテクノロジー業界(とりわけパーソナルコンピュータの最先端)を引っ張っていたリーダーたちをとりあげたものですが、同書に掲載されていて今も現役で第一線を走っているのはデルさんの他には孫正義さんくらいなので、デルさんはこの変化の激しい業界にあって信じられないくらい長寿なリーダーだというとになります。

 

余談ですが、この本で他に登場するのは、ビル・ゲイツスティーブ・ジョブス(NeXTのCEOとして)、アンディ・グローブ、スコット・マクレニ、他多数。日本からはアスキー西和彦さんやジャストシステムの浮川和宣さん、ロータスの菊池三郎さん、マイクロソフト日本法人のトップとして登場していたのは古川享さんでした。リーナス・トーバルスさんは載ってませんよ。まだLinuxありませんでしたから。あとおもしろいのは、オラクルのリーダーが未掲載なこと。90年代前半の段階では、オラクルは「パーソナルコンピュータ」の歴史上ではまだ第一線に乗っていなかった、ということです。

 

話をマイケル・デルさんへ戻します。今回のブログを書くきっかけとなったのは以下の日経の記事です。

www.nikkei.com

 

いわゆる「パソコン屋」を究極的に極めたデル・コンピュータ(当時)ですが、パソコンのコモディティ化やインターネットの普及など20世紀から21世紀にかけての大きなうねりの中でパソコンビジネスは撤退者が続き業界はすっかり様変わりし、デル・コンピュータはパソコン屋のままでは先細りであることを的確に認識し、非上場化に端を発した大変革を行ってきました。その結果、パソコン屋事業も健全にキープしつつ、業界内での会社の立ち位置を「持続可能な」形に変化させることに成功したわけです。社名も「デル・コンピュータ」→「デル」→「デル・テクノロジーズ」へと変遷し今に至ります。私は非上場化される直前、一時期デルに勤務していたことがありますが、この頃はまだパソコン屋からの脱却に苦しんでいた時期だったな、と後から振り返ると感じます。

 

以下は上記日経の記事からの引用です。カッコ内はマイケル・デルさんの言葉です。

産業革命ではモーターと電力、情報の時代にはインターネットが基礎的技術だった。これからは人工知能(AI)だ。使いこなす人間の生産性は10〜20%上がる」

ならば業界を主導するのは「Chat(チャット)GPT」などAIの開発にたけた企業だろう。デルの居場所はどこか。

「AIにはデータが必要で、データはストレージに保存する。AIには先進的な計算能力が欠かせず、サーバーがいる。われわれはそういうインフラを提供する」