どうしてこんなに揉めるんだろうというもらい事故の話


こんな夢を見ました。


それは小雨パラつく10月初旬の早朝のこと。ちょくちょくお邪魔していた近所のファストフードチェーン店で朝食をテイクアウト、店舗の駐車場に停めておいた車に乗り込みエンジンをかける。さてこれからベトナム旅行から成田に帰ってくる家族を迎えに行くぞ、と駐車場の中をわずか数メートル進むと何かを踏んづけたような感触とガタンという音があり、そのまま前進すると何かを引きずっているような感覚をおぼえる。はて、ゴミのようなものでも?


外に出て車の「腹部」をのぞき込むと、ボディー下部を広く覆っているカバーが引きちぎられるように破れていました。さらに、先ほどまでは気づかなかったのですが運転席の床がもっこりと昭和新山のように盛り上がっており、明らかに普通の状況ではありません。


と、車の後方を見ると地面に穴(!)が。穴です、穴。マンホール、、というと通常は丸いですが、長方形の金属製の重い蓋が外れて横にすっ飛び、地面に四角い穴が開いている状態。そんな現場を見て、瞬時に、これはぼくの車が蓋の上を通過したときに蓋が外れ飛び跳ねて車のお腹を傷つけた、と理解しました。


早速店員を呼んで現場を見せたところ、該当箇所の蓋がガタついていたのは認識していて、まもなく修繕するはずだった(実際、数週間後にはきれいにアスファルトで蓋がされていました -- 以下の写真)、とのコメント。その場で店長に電話をかけていましたが、ぼくがもらった回答は「修理費はこちらで負担します」というものでした。


車は自走不可能な状態で、レッカー車を呼び出す大騒ぎ。


さてここからが長かった、、、。


まず、相手側の窓口が店長だった、という点がロングストーリーの幕開け。いかなる連絡、交渉も店長が受ける、というのが先方が言ってきたことでした。店長の多忙さは外から見ててもわかるので、そんな忙しい人が窓口なんてできるわけはないでしょう、社内に渉外担当がいるでしょうからその人と話をさせてくださいと言っても「いえ、私(店長)がやります」の一点張り。そういう社内ルールでもあるんですかね。案の定、連絡がなかなかつきにくく、交渉はスムーズに進みませんでした。


今回の話をややこしくしてしまった要因は他にもあって、これが自動車同士の事故ではなかったという点。通常の自動車事故ならお互いの保険屋同士で直接会話してサクサクと話が進んだかもしれませんが、今回、先方の保険屋は火災保険とのことでした。ぼくの自動車保険屋も「先方が全額が出すというならこちらの保険は使いませんね」となり、基本的に出番なし。


さらにもう一点、話を複雑にしたのが車の破損の仕方。腹部を鉄板で思い切り蹴られる(その後わかったことなのですが、実は床が裂けていました)という事例はほとんどなく、自動車ディーラー側も正確な修理見積りは出せないと言い出しました。一応見積もりは出してもらいましたが、その額を超えてしまう可能性があります、という但し書き付きでのものでした。


さて、事故発生から約1か月が経ったころ、店長から電話がありました。その内容は、「ディーラーの見積額までは払うが、それを超えた場合はお客様の自己負担でお願いしたい」というものでした。つまり修理費全額を払うかどうかはわからないとおっしゃるわけですね。実修理費が見積額内に収まれば問題ないですが、見積もりを超えた部分は払うとは言っていただけないのです。これには納得いきません。こちらの過失がゼロなことは先方も認めているので、何度納得いかないと店長に訴えても、録音した声を聴かされているかの如く同じ回答を繰り返すのみで、話になりません。


このままでは平行線だ、と思い、自動車保険の弁護士特約を使って弁護士に交渉を依頼することにしました。こちらが弁護士を立てると先方も弁護士を立て、お互い代理人同士の交渉へとステージが変わりました。ここからもまあ、いろいろありました。一歩ずつ、いや、半歩ずつくらい進んでいるように見えるのですが、実にゆっくりとしたもので、こちら側弁護士も最大限の交渉をしていただけとは思うのですが、結局「見積額までは出す」以上の妥協点は引き出せませんでした。ただ、「見積額を超えた部分は出さない」とまでは言わなくなったところは前進だったでしょうか。


私の方はというと、交渉を待つにも我慢の限界ってものがありまして、4月の末には一旦全額自腹を切る形でディーラーへ修理を依頼してしまいました。事故は10月ですから半年以上待ってからのことです。ところがなんとなんと、実修理額は見積額を下回ってしまったのです。「見積額を超えた部分をどうするか」で交渉が長引いてきたわけですが、ふたを開けてみればその心配はなかったわけです。結果オーライではありますが、なんともやりきれない思いです。


さて話はこれでは終わりません。今回の事故によってぼくの車は「事故車」扱いになります、つまり、無傷の車に比べてその残存価値(再販価値)が下がるんですね。この評価損も先方へぜひ請求したい。ということで、その評価額を出すのにまたいろいろとやり取りがあってあっという間に1〜2か月が過ぎていきます。6月上旬に自動車査定協会という第三者から「事故減価額」を算出してもらい、修理代金と合わせて先方へ請求、というのが本日時点の状況です。


言ってしまえば、先方が「見積額までしか出さない」なんてゴネ出さなければこんなに長引くこともなかったはずで、弁護士入れてあれやこれややる必要もなかったかもしれないし、ものすごく印象悪くなっちゃいました。客のことを第一に考えたら、もうちょっと違った対応もあったんじゃないでしょうか。店長さんは間に挟まってただけだと思うので、結局のところ会社としての対応の問題ですね。非常に残念です。