『花燃ゆ』で信念を貫いたのは


今年の大河ドラマ『花燃ゆ』の平均視聴率が史上最低だったと報じられています。


同率で最下位とされる『平清盛』(2012年、松山ケンイチ主演)は個人的には視聴率と真逆の評価をしていまして、完成度が非常に高く記憶に残る大河だったと思っているのですが、一方今年の『花燃ゆ』を観終えての感想は、作品を貫く何かが足りなかったかな、というものでした。


大河という大看板を背負いながらも歴史上あまり知られていない女性を主人公に立てるというチャレンジ自体は良かったのですが、前半はイケメン男優たちが出入りするだけの展開で、内容的にも作品のオリジナリティより「鉄板の幕末ストーリー」に頼っていた感があり、主人公が話の軸に腰を下ろしていったのはかなり後半の数少ないエピソードのみでした。その後半には心に響く台詞や情景が時折見られたのでなおさら残念感が後を引き、一年を通して振り返るとちぐはぐな構成だったように思います。


そんな中でもぼくの印象に残ったものは、「至誠」、「」そして「学ぶことは生きる力」というメッセージです。"もう一人の主役" である小田村伊之助/楫取素彦は、話の始まりでは刀を差し、友と共に学び戦い、牢獄につながれ斬首一歩手前まで行き、百姓暮らしをしたかと思えば、最後は群馬県令として汽車に乗って鹿鳴館でダンスを踊るという、何人分もの人生を生きながら、至誠、志、学びは力、を貫きました。変化の激しい時代だからこそ揺るぎない信念が事を成す、そんな余韻を持って来年の真田丸を待ちたいと思います。

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