和食が無形文化遺産、は約束


「和食(日本の食文化)」がユネスコ無形文化遺産への登録が決まったそうで、関係者のみなさまおめでとうございます。(参考記事:『日本の「和食」無形文化遺産に登録決定』)


ここでは、ユネスコの認定そのものとか取得の是非についてどうこう言うつもりはありません。ただ、この手の「認定もの」というのは、その受け止め方というか利用の仕方が人によって違うのがおもしろいですね。上記の記事一つとっても、コメントを残されている方々の見てる方向が少しずつ違うように感じます。


言うまでもありませんが、「認定もの」は何らかの目的を達成するための手段のひとつであるべきで、第三者のお墨付きがもらえたことだけをことさら喜ぶよりも、むしろ、国を挙げての和食保護活動のスタートラインについたと考えたほうがいいですね。


ここで「無形文化遺産として認められたんだぞ」なんてアピールをしたりするのは、"肩書きに弱い日本人" 根性丸出しでみっともないのでやめましょう。日本国民のやるべきことは和食文化を後世まで末永く継承していくことです。ユネスコへの申請を検討する会の会長さんの言葉(以下の記事引用を参照)が印象的でしたが、この認定、国民へ向けての強いメッセージなんですよね、たぶん。(邪念がないことを祈る)

記事より引用:
「登録を目指した本当の気持ちは、和食が国内で大変大きな危機にあるという、危機感から来ている。われわれの家庭を考えてみても、若者の和食離れなど家庭の味が伝わりにくくなっていることが大きな問題と考えた」


さらに、認定を報じるテレビのニュースの中で、ある料理家の方がインタビューでいいことを言っていました。正確な文言は覚えていませんが、「この登録は、日本国民が世界に対して食文化を継承して行くという約束をしたということ」というコメントだったと思います。これ、料理人だけが約束しただけじゃだめで、全ての国民が(もちろん、海外の方が和食保護に力を貸して下さることは歓迎ですが)強く意識していきたいものですね。


常々、和食とそれ以外って何が違うんだろうと、考えています。料理をアートだと捉えて見てみると、多くの国の料理はキャンバスに色を塗り重ねていく絵画のようなもの、対して、和食は原木を削って作っていく彫刻のようなものかな、と今は勝手に考えています。絵画と彫刻は別物ですから、どちらが良いとかすぐれているとかいう話ではありませんが、素材と向き合いその内面の良さを引き出す和食は世界に誇っていい文化だと思います。万物に神が宿ると考える日本人ならではの、ユニークな食文化、それが「和食」なのではないでしょうか。


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