黒いカレーと透明なスープ 〜 『武田流古式カレーライスと支那そばの店 インディアン』(蓮沼)


蒲田は地元だったはずなんだけどなぜか一度も行ったことがなかった蓮沼(蒲田から池上線でひと駅)にある支那そばとカレーの有名店『武田流古式カレーライスと支那そばの店 インディアン 本店』に念願かなって伺うことができました。


まもなく創業60年とも言われる歴史あるお店ですから、多くを語る必要はありませんね。知る人ぞ知る、いや、地元だったら知らない人でも知っている、そんな風格が漂うお店です。「武田流」とか「古式」のいわれはググればいくらでも出てくるので、私としては食いに集中しようと思います!


メニューはずばり、支那そばとカレーのみ。多くの客が頼むのは支那そばとカレーのセットメニュー。そう、この店では支那そばとカレーをいっしょにいただくのがデファクトスタンダードなのです。


セットメニューを頼むと最初に出てくるのは支那そば。


スッキリと澄みとおった塩味スープがうまいす!


すーっと胃袋にしみこんでいく摩周湖のように透明なスープは魚介ダシが上品に主張します。昨今の魚介系のように「ブシ」がドヤ顔で踏み込んでくる味ではなく、耳を澄ませば森の奥から聞こえてくるかすかな鳥のさえずりのごとく優しく、そして、やすりで角を丁寧に落とした風味のスープなのです。やや薄味と感じる方が多いようですが、チャーシューやメンマがしっかり味付けされていることもあってぼくはもっと薄くてもいいくらい、と思いました。


ちなみに箸は屋久杉と書いてありました。


威勢のいいご主人が眼光鋭く店内を見守る中、いただいている支那そばが中盤に差し掛かったころに自慢のカレーが届けられます。ちなみにこれは「半カレー」。


おおおー、黒い!ここで支那そばの箸を一旦止め、スプーンを手にします。


味はまさに「黒」。ピルスナーと黒ビールの関係のごとき、黒なカレーです。焦げる直前の香ばしさを持ち、サラッともドロッともしていない、ご飯に見事にからまるカレーです。先ほどまで食べていた支那そばの魚貝ダシのように、どこか遠くから届いてくるしっかりとした辛さもあります。カレーの口直しに支那そばのスープをすするのもよろし。


いやあ、これはユニークであるだけでなく、たしかにうまいなあ。ほんと、黒ビールですよ。


帰りがけに店先を振り返って見たところ、おっと! 表札を発見。しかも、インディアンじゃなくて「インデアン」と書いてある。これでは大阪のあの名店と同じじゃないか!どうなってんだ?


…という謎が残るお店でした。また行こう

武田流古式カレーライスと支那そばの店 インディアン 本店
〒144-0051 東京都大田区西蒲田7丁目16−1
東京都大田区西蒲田6-26-3 SSビル 1F(2013年10月に移転)
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