カブトムシ羽化に思うインターネットと完全変態


息子が飼っていたカブトムシの幼虫が、昨日成虫 (オス) となって土から出てきました。息子がたいそう喜んだのは言うまでもありませんが、この私自身もかなり感動しました。私も子どものころは、幼虫を買ってきては「早くカブトムシにならないかなあ」と夢見ていたものですが、飽きっぽい性格のせいで幼虫はいつも道半ばにして天国へ召されていきました。そんなわけで、目の前で*1カブトムシが誕生するのは、子どものころ見ていた夢がかなったような気持ちで、思わずはしゃいでしまいました。


さて、この変態という極めて神秘的なメカニズムは何のためにあるのか。一説によれば、生物が生き抜くための知恵とでも言いましょうか、小さきころはひたすら生き残ることを目的とした形態 (食べる、成長する、など) をとり、成長後は子孫を残すためにその形を変える (生殖機能を得る、遠くへ移動する (飛ぶ)、など)、ということのようです。カブトムシのように蛹 (さなぎ) を経て成虫になることを「完全変態」と呼びますが、この蛹の状態って、とても不思議な状態ですね。自ら成形した殻のなかで、ビフォーとアフターでまるで違う生き物へ変化するのです。その中間って、いったいどうなっているんだろう?


さて、ITの世界で言うと、まさにインターネットが完全変態 "仕掛かり中" ってとこでしょうか。東西冷戦時代に国防の目的で生まれたインターネットは、Web ブラウザという蛹を通じてその目的も形も当初のものとまったく異なるものに変化 (成長) し、今はその子孫 (様々な新しいビジネスやサービス) を増やしつつあります。いやむしろ、何が飛び出すかわからないという意味では、まだ蛹から羽化していない状態かもしれませんね。(そして永遠に羽化しない?)


【付録】
「IT 業界の完全変態」を、はじめは "ワープロソフトから xfy で複合 XML ベンダーの雄 (?) へ変態を遂げたジャストシステムぅ!" って書こうと思ったんだけど、彼らの場合、「文書を作る、流通させる」という基本軸は変わっていないので、まったく形態が変化してしまう完全変態というよりは甲殻類 (カニとか) の変態に近いのではないかと。

*1:と言っても羽化するところを見たわけではありませんが