SOAに価値はあるか


「SOAにROIは似合わない」という記事。投資に対するリターンを数値化したものを ROI (Return on Investment) と呼んで、とりわけIT業界においては「ほんとにこれを導入すると儲かるの?」とごねる顧客を説得するための切り札のひとつとされています。この記事では ROI のことを

ROIの計算公式はすなわち、支出を正当化するため事後に作り出されたものである場合が多い


とするあるアナリストの言葉を引用し、顧客にとっては結構眉唾なんだよと指摘しています。で、そんな「ROI」を、さらにつかみどころのない SOA と結び付けようとすると話がもっとややこしくなるし、だいたい SOA なんてものはそんな目先の数字でとらえるべきものではないのである、というのが記事の趣旨。

 SOAはベストプラクティスの集合体であり、哲学であり、ビジネスの進化を促す力である。SOAは基本的に目に見えないもので、ビジネスを長期間営んではじめて得られる成果なのだ。


SOA」っていう流行り言葉もひと段落して、各 "SOA" ベンダーが提供するソリューションの中身が果たして本物であるかどうかが問われるフェーズに移ってきているように思います。近視眼的に SOA を技術の側面から捉える傾向が強まれば、Web サービスを軸とするテクノロジートレンドと何が違うのということになり、ベンダーによるいつもの言葉遊びだと顧客に思わるのがオチです。私の理解では、SOA は『あとから振り返ればぼくらが思うよりもっと大きな「時代のうねり」を言葉にしたものが SOA だったね』と言える類のものなんだろうし、決して新しくはない「ソフトウェアを部品として構築していく」という「システムのあり方」においてビジネスとの接点をしっかり考えていきましょうというのが本来の SOA であるはずだから。