『20世紀少年』 - なぜか、次回作が楽しみ

saitokoichi2008-09-09



★注意して書きましたが、まだ映画を見ていないひとにとってはやっぱりネタバレありです


原作にド忠実と聞いていたので、最初のシーンが海ほたるだったのにはちょっと驚きましたが、それ以外は良くも悪くもほぼ評判通り。


簡単に感想を述べるならば

  • 登場人物や映像の原作への忠実性には唸るものの、その点以外での感動は薄く、総じて平均的な映画
  • にもかかわらず、なぜか次回作に期待が高まる不思議なシリーズ


原作を忠実に再現するという方針そのものはありだと思うのですが、作品にインパクトがなく平均的だと感じさせてしまった最大の要因は、原作となった浦沢漫画の構成にあると考えています。


『モンスター』にしてもこの『20世紀少年』にしても、彼の「謎解き」のストーリーは、推理小説でよくある「紐をたぐり寄せていく」パターンではなく、精巧にプロットがなされた大きな網をがさっと広げてその網目の幅を徐々に詰めていくような同時並行的多面体(?)な展開なので、作品を中盤くらいまで読み進めていかないと話の軸や全体の進み方がわかりづらいという特長があります。しかも、登場人物も多い。これはスタイルの問題なので好き嫌いは出ると思いますが、作品の良し悪しとは別です。(ちなみに私も最初は違和感がありましたが、じきクセになりました)


そういった、単行本で言えば数冊を読むまでは話の中心がよくわからんという大風呂敷 (しかし緻密さはある) な話の序章を託された映画第一作目は、ある意味非常につらい役回りだったと言えます。結果として、原作を知る私のような観衆からすると、ストーリが流れとしてつながっていないような感覚を覚えてしまうのです。物語の背景 (1970年代という一時代) の存在感や、各登場人物の個性の表現の場*1、あるいは名シーンと思われる箇所*2が、ことごとく上映時間の犠牲になっていたように思います。ぜひ、原作を読んでいない方の感想を聞いてみたいですね。あのストーリーがどう映ったのか。


とは言え、です。これがまた不思議なのですが、「まあ、こんなものかなぁ」とほんのちょっぴりの脱力感で見終えた第一作本編終了後に挟まっている二作目の予告編には、ちょっとワクワクしてしまいました。上述のように、壮大な話の序章をコンパクトにまとめるという大役をなんとか平均点程度でこなした後は、思い切り20世紀少年ワールド全開でいけると期待させる予告編になっていたからです。原作的にも、「理科室でドンキーが見たもの」、「首吊り坂の家」、「サダキヨの活躍(?)」、などの要素が目白押しの中盤がもっとも盛り上がる箇所だと思っていますので。ハットリくんだけじゃなくて、ナショナルキッドが出てこないと、盛り上がらないっしょ、やはり。

*1:たとえば、物語へのフクベエの絡み方がちょっと不自然。同窓会の帰りに酔ったままケンヂを「自宅」へ呼び込んだシーンは、今後の展開からも必須だったと思いますが...

*2:たとえば、原作冒頭に出てくる国連のシーンなど