ビジネスと心と


約20年前、サラリーマン最初のボーナスを受け取ったときは、「ああ、ぼくはこの感動のために働いているのか」と、感慨にふけっていました。学生時代のアルバイトでは味わうことのできない、モチベーションアップの瞬間です。


私の会社では、ボーナスは年一回、2月末日に支給されます。管理下の社員に支給通知を渡す瞬間だけは少なくとも感謝をされているのかな、などと思いつつ、日頃の力不足の言い訳として自分を慰めたり。


子どものころを思い起こすと、父親が持って帰ってくるボーナスは、封筒に程々入ったお札でした。親父ってすごいなぁ、なんて思ったものですが、今の時代、札束を持ち歩く光景はあまり目にしなくなりました。


人間は現金なもので、まとまったお金を手にした瞬間はそれなりにやる気を感じるものですが、それは長続きはしない。やはり、ひとの心を動かすのはお金とは違う何かなんだ、と妙な確信を深めつつ、今日も「ビジネス」と「心」の間で揺れ動く瞬間々々の自分を一歩引いて楽しみたいものだと自らに言い聞かせます。