e-Tax キャンペーンの無意味


確定申告その他で税務署へ赴くことがたびたびありますが、毎度よくわからないのが「電子申告 (e-Tax)」。要は税金申告の手続きを電子化するものなのですが、サービスを開始してから数年経ってもまったく普及していない様子。かくいう私も使ったことがありませんが、理由は簡単で、ややこしいからです。IT業界に身を置く私でさえこの調子ですから、よほど簡略化されない限り一般普及するとは思えません。(どれほどややこしいかは池田信夫さんのブログ (リンク) をご参照。以下、同エントリーからの抜粋です)

なかでも問題なのは「電子証明書」だ。これは住基カードのことで、このために区役所へ行って申請しなければならない。しかもこれを使うには、3000円以上出してICカードリーダーを買わなければならない。領収書などの添付書類は、どっちみち郵送しなければならないので、紙で出すほうが簡単だ・・・というわけで、システム導入から3年たっても、e-Taxの利用率は個人で0.2%、法人でも1.4%である。


なぜこんなことを急に書き出したのかというと、今日、税務署から e-Tax キャンペーンのお知らせが届いたからです。なんでも、本年度分または来年度分の所得税申告で e-Tax を使うと所得税額を 5000円 値引いてくれるらしい。たったの 5000円?! しかも値引きは1回きり!e-Tax が浸透しない理由は、上述のように利用のための手続きが圧倒的に面倒くさくて、導入価値を感じることができないことにあるわけです。たった 5000円ぽっちで心が動くようなものなら、利用者はもっと多かったはず。推進担当部門が苦労して苦労して通した企画なのかもしれませんが、効果は限りなくゼロでしょうね。


所得税の確定申告について言えば、ネット経由で申告書の作成ができるようになっています。数年前から国税庁のサイトで提供されているサービスですが、言われたとおりに数字を入力していけば最終的に申告書を PDF 化してくれて、それを印刷して税務署へもって行けばいいので大変重宝しています。単に申告書作成時の電卓ワークから私たちを解放してくれるだけの仕掛けですが、上記 e-Tax住基カードシステムとつながっている複雑な仕組みであるのに比べて、こちらの申告書 PDF 作成支援ツールはシンプルで使いやすい。ITを生活に生かすとはどういうことなのか --- 利用者の利便性を第一に考えるということがサービス提供者にとっていか大切で基本的な視点なのかをあらわす端的な一例です。