ノーツの効能(9) - センスを磨き、素材を生かす


かつてロータス ノーツが Web との融合を試みていた90年代後半、ロータスは一連の「Domino.xxx」("xxx" は特定の名前) シリーズを世に送り出し、試行錯誤を繰り返していました。この Domino.ナントカっていうのは、ドミノ サーバー ( = ノーツ ⇔ Web コンテンツコンバーターと HTTP サーバーが組み込まれたノーツ サーバー (当時)) をベースとした用途別テンプレートみたいなもので、一番有名なのは Domino.Doc、他では、CDのネット販売先駆けだったタワーレコードのサイト構築に採用された Domino.Merchant、などいくつかありました。(う、他は忘れた...)


そんな Domino.ナントカを尻目に、とってもすばらしい Web サイトを素のドミノで構築し、いまも現役でがんばっている有名企業サイトが日本にあるのをご存知でしょうか?


それは、JR東海の Web サイトです。(http://www.jr-central.co.jp/)


ドミノでやるには厳しいサービス(オンライン予約など)を提供する一部のサイトを除き、同社の Web サイト全体は xxx.nsf ("nsf" はノーツ データベースの拡張子) で構成されています。


はじめは非常に小さなサーバー機でスタートしましたが、当時からパフォーマンスの問題はまったくありませんでした。なぜか。(1) 技術面に深入りせず、コンテンツデザインに集中したこと、(2) レプリケーションを使って上手にコンテンツ作成環境を分散させたこと、がその理由だと考えています。


このサイトでは究極的にシンプルな方法で、コンテンツ管理サーバーとしてのドミノを活用しています。いい意味で凝ったデザインのページがある一方で、"特派員" による投稿ページのようなところもあります。後者の仕掛けを手軽に作れたのもドミノあってこそ、だったと思います。


ちなみに、JR東海さんのサイトを構築した業者さんは、道場六三郎さんのサイトもドミノでやってくれてます。こちらも素敵なサイトです。
=> http://www.michiba.com/


社内で使うコラボレーション環境としてのノーツ (ドミノ) と、こうやって Web サイトを支える環境としてのドミノって、ちょっと性格違います。でも両者に共通して言えることは、「まず、シンプルに使ってみようよ。だって、とってもいいものなんだから」っていうところ。