テレビがなくなる日

今朝の日経本誌一面に『「ネットTV」07年度に発売、松下など5社統一規格で』との見出しが出ていました。日本の家電メーカーが"インターネット接続型テレビ"の規格を作って来年いっせいに「ネットテレビ」を発売しちゃいましょうという宣誓です。これを読んで、ああテレビ(テレビ放送受像機)がなくなるんだな、家電メーカーもいよいよ大変革の時代だなと思いました。

インターネット接続型テレビの時代が来ると、従来の機能追求型受像機的視点では差別化ができなくなります。コンピュータを「メディア」と言い切ったのはアラン・ケイ*1でしたっけ、そう、「テレビとパソコンの境目がなくなってメディアとなる」時代がもうすぐ来るのかと今日まで思っていましたが、そんな時代を省略して「テレビもパソコンも同時期に消えちゃってメディア化する」のではないか、と感じます。

記事中、来年出てくるとされた「ネットテレビ」ですが、上述のようにもはや技術力とか機能とかで差別化するのは難しくなると思います。ハードウェアとして備えるべき要素はせいぜい、

  • 回線制御やプロセッサ部分のモジュラー化(ネット世界は従来の家電の寿命より何倍も早く変化する)
  • ネット以外のデバイスとの広範囲な接続性(デジタル化できるものはすべてつながる文字通りメディアセンター)

かと。もし本気でネットテレビ時代への対応をするならば、家電メーカーにはネットの「あちら側」でのサービス提供者になる、という選択肢が残されています。機器としてのネットテレビは、ハードウェアの機能ではなく、マーケティング*2とサービスの質で差別化されるものとなるんじゃないでしょうか。それ以外のメーカーは逆に、「テレビ」という半完成品ではなくコンポーネント単位での技術力勝負となり、日本の大メーカーは世界を相手にこれまで以上に苦しい戦いを強いられることになるのでしょう。

*1:ダイナブック」の提唱者。いったいどういう頭の構造してたんでしょう、すごいです。ちなみに「Personal Dynamic Media」(1977年発表)は同氏とAdele Goldbergの共著

*2:見た目とかさわり心地とか消費ニーズへの敏感・俊敏な対応や、さらにはそう感じさせる雰囲気作り