超兵器R1号

最近ウルトラマン関連の投稿が続いたので、その流れで、ぼくの最も愛する『ウルトラセブン』から印象に残っているエピソードのひとつをご紹介。それは、『超兵器R1号』というタイトルで放映された第26話です。世界の注目を集める大陸での侵略戦争が続く中、人類の本能的な欲望へ警鐘を鳴らす秀逸なエピソードです。

 

ひとつの星を破壊してしまうほどの威力を持った「超兵器R1号」を開発した人類は、その実験対象として「ギエロン星」を選びます。実験は見事成功、ギエロン星は跡形もなく吹き飛ぶのですが、事前の調査で生物は存在しないと思われていたその星から、生物と思われる物体が地球に向かって飛来します。この物体、超兵器R1号の衝撃によって突然変異を起こした巨大生物、ギエロン星獣でした。地球に到着したギエロン星獣は人類に向けた報復ともとれる破壊攻撃を仕掛けます。

 

ウルトラセブンとの死闘の結果、ギエロン星獣は「退治」されるのですが、今回のギエロン星破壊実験に関するフルハシ隊員とダン隊員(=ウルトラセブン)の会話がなかなか考えさせられます。

 

「忘れるなダン、地球は狙われているんだ。今の我々の力では守りきれないような強大な侵略者がきっと現れる。その時のために…」(フルハシ)
「超兵器が必要なんですね」(ダン)
「決まっているじゃないか!」(フルハシ)
「侵略者は、もっと強烈な破壊兵器を作りますよ!」(ダン)
「我々は、それよりも強力な兵器をまた作ればいいじゃないか!」(フルハシ)
…それは、血を吐きながら続ける…、悲しいマラソンですよ」(ダン)

 

抑止力としての核兵器保有と、その考え方に基づいた核拡散に警鐘を鳴らす象徴的なやり取りです。核兵器の抑止力は米ソ冷戦を経た現代においても引き続き不可避な力であると頭では理解しつつもその兵器を使うのは人間です。その人間が「核兵器は絶対悪の非人道的兵器である」というまともな判断力を持っていなければ取り返しのつかないことになるし、また、核の拡散を食い止め縮小を進めることは「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」を終わらせるために絶対に必要なことである、といったことをぼくたち一人一人が自分事として考え、取り組んでいかなければならないことを『超兵器R1号』は教えてくれています。