想像力のスイッチとアンガーマネジメント

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情報リテラシーのひとつとして、従来メディアやネット、SNS を通じて流れてくる情報をどう取り扱うか、が挙げられると思いますが、まさにこのポイントについて小学校の授業で教えているシーンをテレビのニュースで見かけました。社会的に興味の的となっている物事(たとえば今でいえば新型コロナウイルス感染症など)に関連する情報が流れてきたとき、それが正しい(確からしい)情報なのかどうかを自分の頭でちゃんと考えて次の行動に移しましょう、ということを授業の中で実際に演習をしながら子供たちが学んでいる姿を見て、こういうことは小さなうちからきちんと教育していくべきことだな、と感じました。

 

そのニュースの中では、「想像力のスイッチを入れよう」というテーマで教師が実践的な学びを授けている様子が紹介されていました。想像力、、、そうですよね。これすごく大事。

 

  1. 「(結論を)即断しない」→ 情報源がはっきりしないのに脊髄反射しちゃだめだよね
  2. 「(印象を)うのみにしない」→ 事実なのか、情報を伝えてきた人の印象に過ぎないのか考えてみようね
  3. 「(1つの見方に)偏らない」→ 別な角度からその情報を見てみたらどうだろう?
  4. 「(スポットライトの)中だけ見ない」→ 目に見えているものの外側に何があるか想像してみようね

 

といったことを授業を通じてディスカッションしているのですが、いずれも、想像力の問題に帰結するんですよね。目に入ったもの、耳から聞こえてきたものをそのままコピーして横流ししたりするのではなく、いったん自分の頭で想像力を働かせて考えてみて、それから行動しましょうということなんだと思います。情報の拡散力はSNSがコミュニケーションの基盤となって以来、そのスピードと威力は飛躍的に高まり、拡散されるものがデマの場合は社会が大きく混乱します。想像力のスイッチを入れる習慣、大切ですね。

 

ちなみにこれ、どの科目で教えていたのか興味があったのですが、ニュースの中で「詳しくはこちら」と紹介されていたのが光村図書のウェブサイト。なるほど、国語の授業だったのですね。ぼくはてっきり道徳の時間なのかと思っていたのですが、国語ですか。なかなか興味深いです。以下のリンク先では短い動画で上記4点について解説されているので興味のある方はご覧ください。対象は小学生だけど、大人でもためになります。

www.mitsumura-tosho.co.jp

 

ちょっとだけ横道にそれますが、上記の話と無関係でもないので、別な報道番組で紹介されていた「アンガーマネジメント」についてもひとこと。アンガーマネジメントとは、怒りをコントロールするテクニックのことです。「怒らない方法」ではなく、生き物の本能としての「怒り」は肯定しつつ、その扱い方を上手に管理していきましょう、というもの。「怒りをぶつける」という言葉がありますが、まさに、怒りを「ぶつける」のではなく「うまく処理しましょう」という技のことです。

 

アンガーマネジメントのテクニックとして紹介されていたものの中に「6秒ルール」というのがあって、これは、怒りをおぼえたら即反応するのではなく、まず6秒待ってみましょう、という行動規範のことです。詳しい説明は省きますが、この「6秒」という時間は脳医学的にも妥当性があるようで、怒りを感じる脳の部位と理性をつかさどる部位の間で信号が行き来するのにそのくらいの時間が必要、ということでした。6秒待てば理性が怒りをコントロールする時間の余裕ができるらしいです。「想像力のスイッチを入れよう」で紹介した1点目の「即断しない」にも通ずる考え方だと思います。

 

現代は、不安なことや恐れいていることと、(たとえばコロナのせいで)私たちが置かれているストレスフルな状況が掛け合わされることによって、想像力を欠く行動をとったり怒りをうまくコントロールできずに人を傷つけたり、ということが起きやすい環境に生きていると言えるかもしれません。そんなときだからこそ、今一度、想像力のスイッチを入れ、怒りとうまく付き合う方法について考えてみてはどうでしょうか。