インターネット冷蔵庫が復権する日

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インターネット黎明期の20世紀終盤、「インターネット冷蔵庫」というコンセプトが一部のギークの注目を集めていた時期がありました。インターネットが生活に徐々に浸透し始めた当時、常時稼働している身の回りのものは何だろう、と考えたときに多くの人の頭に浮かんだがのが冷蔵庫でした。24時間稼働している家電であればインターネット常時接続と組み合わせれば新しい価値が生まれるのではないか、という考え方が出発点。とはいえネット技術はまだまだ発展途上だったため、インターネット冷蔵庫は本気半分冗談半分という存在で、たとえば「冷蔵庫にウェブブラウザを組み込んだもの」というコンセプトが一般的であり、それ以外のアイデアは「近未来の夢」でした。その後、「ネット常時接続」の主役がスマホになったのは言うまでもありません。

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その後、IoTがバズると「IoT冷蔵庫」なる呼称も飛び出し、ネット接続を生かした冷蔵庫がいくつか登場してきましたが、どれもいまひとつヒットしませんでした。

getnavi.jp

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つい最近、27年間も使い続けた我が家の冷蔵庫を新調したのですが、ニッポン家電の神髄「毎年進化し続ける」に恥じない機能強化がされていて四半世紀以上前の家電とは違うなあと感心していましたが、冷蔵庫本体の制御系の機能や使い勝手向上がメインであることもまた事実でした。

 

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ぼくは、「ホームサーバーの夢」をまだ持っているんですよね。家中の電化製品と連携して家単位ですべてのデバイスの稼働状況の把握とその制御が一本化&自動化され、必要に応じて外出先からも操作や指示が出せる(指示出しはスマホからか)世界の実現。個々の家電ごとにはネット連携できているものもありますが、家全体を統合的に(メーカーの壁を越えて)面倒見てくれる集中コントロールポイント、それがぼくのイメージするホームサーバーであり、その宿主として最適なのが冷蔵庫なのです。

 

冷蔵庫が冷蔵庫としての機能は強化されつつ、家全体の統合コントロールセンターとして進化していく、そんなイメージを持ち続けています。もっともこれだけクラウドが実世界と地続きになると、統合コントロールセンターは果たして「自宅」という場所に置かれている必要があるのか?(インターネット側にあってもいいのではないか)、という考えも生まれてきますが、これはどちらが最適なのか~家電同士が近距離で連携しあう世界と、個々のデバイスがそれぞれ直接ネット接続する世界~のデザインの問題ですね。ぼくは、「家」という単位で末端(エッジ)側で取りまとめる役目を持ったホームサーバーがいた方がいいかな、というのが現時点での考えです。