「正しい」はぶつかる。けど、「やさしい」はぶつからない(『恋妻家宮本』より)

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コロナ対応で「家にいよう」ということで、平日の夜や休日はAmazon PrimeNetflixで映像作品を家族で観ています。


先日は『恋妻家宮本』という、阿部寛天海祐希が主演の2016年の映画を観ました。熟年離婚期を迎えた夫婦がお互いへの愛情や思いやりを再発見する、という作品だったと勝手に解釈しているのですが、とっても印象的なセリフがあったのでメモを残しておきます。


それは、(正確な表現はさておき)『「正しい」はぶつかる。けど、「やさしい」はぶつからない』という阿部寛(宮本陽平: 夫役)の言葉でした。


この台詞が出たのは、教師である陽平の教え子の厳格な祖母が正論をまくしたて「私、何か間違ったこと言ってるかしら?」と陽平に詰め寄るシーンでのことでした。陽平は、正論は正論として反論はせず、上記の台詞をつぶやいたのです。この状況での陽平は、目の前にいる女性の正論を聞き入れる一方で、天海祐希(宮本美代子: 妻役)との最近のぎくしゃくした関係が頭をよぎったのでしょう。そこで、彼はふと、気づいたのです。正しい=正論=正義を通そうとすることは、争いのもとになる。しかし、「優しい」という相手を思いやる気持ちがあれば争いにはならない、と。


新型コロナウイルスの世界的な蔓延で人類には共通の「敵」ができました。このことは、私たちに様々な「考える機会」「変化の機会」を与えてくれているように思います。この敵には、みなが一丸となって立ち向かわなくてはいけない。人間同士が争ったりしている場合ではなく、各々の信条や思想、宗教など越えて、一人一人が自らと、そしてウイルスと戦っていく必要があります。

mainichi.jp


正義のぶつかり合いは戦争をも生み出してしまう。「正しい」を押し付けあうのではなく、相手を受け入れる「やさしさ」が人間関係においては ーそれが夫婦間だろうと、友人間であろうと、国と国の対立であろうとー もっとも求められていることなんだな、と、熟年夫婦を描いた映画を観ながらふと思った次第です。