セカイカメラは目立ちすぎたのか (何事も急激なのはよくないす)


9月24日に無料公開が始まった iPhone アプリ『セカイカメラ』(http://support.sekaicamera.com/) がユーザーの間で異様な盛り上がりを見せています。(って、ぼくのまわりだけかな(汗))


セカイカメラとは、任意の場所に言葉や写真、声を残しておけるアプリのこと*1。残されたメッセージ (「エアタグ」と呼ぶ) は、iPhone のカメラを通じてそれらがポストされたまさにその場所でフワフワ浮いているように見えます。このような世界を AR (拡張現実) と呼ぶようですが、ぼくは AR の勉強をしていないのでその意味するところはよくわかりません。ただ、昨日今日といじってみて感じたのは、「なんかすごそうだけど要はおもちゃだよね、で片付けられちゃいやしないだろうか」という不安でした。


バッテリーを激しく消費するので短時間しか使えませんが、そういった技術的・機能的な面はリリースされたばかりでので今は期待を持って暖かく見守ることにします。むしろ気になるのは、あまりにも急激なユーザー側の盛り上がり様です。現実世界では体験し得ない新たな視覚を与えてくれるアプリですからこの盛り上がりも当然なのですが、「活用法についての無数のアイデアが爆発し、その後収れんしていく」スピードよりも、「急激に高まった熱が冷めてしまう」スピードの方が速いのではないか、ということを危惧するのです。それは、(そういうものがこのアプリにあったとして) 本質的なすばらしさに気付く前に人々が飽きてしまったら、という不安でもあります。「すごい、すごい」が先走りすぎるとよくないのでないか、ということですね。正直に言えば、現時点でこのアプリをおもちゃ以上にするアイデアはぼく自身も持っていません。おもちゃではなく道具になれるかどうか、そこが分岐点。


エアタグは事実上の匿名ポスト天国なので、中傷やプライバシーの問題といった社会的な問題をどう解決していくのかという指摘ももっともですし、一度作ったエアタグは自主的に削除しない限り永遠にその場所に残りゴミ山の種になってしまうという仕様上の課題をどう解決するのか*2という点も見逃せないでしょう。


セカイカメラの技術がデバイス特化ではなく、より汎用的なものとして iPhone の外に出たり、他のアプリやデバイスと相互にコミュニケーションできるのであれば可能性は一気に広がるような気がしますが、それが実現するまで人々が待っていてくれるかどうか。。。


追記:
フィルターについてはデフォルトで1週間以内のタグのみ表示するようになっているので、放っておいてゴミ山になるのは人気スポット(?)に限定されるかもしれません。とはいえ、現在のフィルターは「期間」と「距離」が主なものなので、今後機能強化が求められてくると思われます。

*1:レビュー記事としては、これがよくまとまっています

*2:フィルターの性能を上げるのか、あるいは、たとえばTwitterで自分がフォローしているひとのエアタグだけを表示するようなグループ機能の強化とか